2010年03月11日 15:36
てなわけで、MHP2Gをやり直してみた。
一応、操作は身体が覚えていたのか、あまり混乱することはなかった。
まぁ、アイテムを咄嗟に使おうとするとセレクトボタンを押してしまったりはしたが。
いやしかし、こうしてやり比べてみると、色々と見えてくるものがあるもので。
まず、操作関係。
MHP2Gに先に慣れたということを差し引いても、
これは恐ろしく優秀な配置だったと思う。
特にアイテム選択の直感性は、考えた人を神と崇めても良いくらい優れている。
ゲーム中の作業を一切妨害せずに、動きながらアイテムを探す方式として、
実に優れたアイデアである。
多分、GE方式の方が、既存のゲームに慣れた人には受け入れ易いシステムだと思う。
ただし、積み重ねとして使用する場合、最終的にMHP2Gの方式が上回る感じ。
最初から長く遊ばせることを前提とし、
それでいてストレスの少ない形式として採用されたんじゃないかな。
次に、見た目。
GEのレビューをした時にも触れたけど、
GEは1エリア全マップ制を採用した代わりに、
グラフィックの質を落とすことになっている。
グラフィックは綺麗である方がいいのは当然であるが、
ゲーム性と天秤にかけた場合、グラフィックを選ぶのは愚かなことである。
GEはギリギリのグラフィック水準を保った上で、
ゲーム性を底上げしていると思うので、これに関して文句はない。
ただ、MHP2Gの世界は確実に美しい。
GEの世界が荒廃した世界であるという事実を差し引いても、
細やかなデザインの作り込みには改めて舌を巻く。
もうどれだけ見慣れた風景なのか分からないにも関わらず、
ここに帰ってきたという感慨と共に、思わず風景を眺めてしまったほどだ。
そして次の項目でもある「流れる時間」にも関わる部分であるが、
MHP2Gの世界は実にゆっくりと時間が流れている。
それは美しい風景と、そこに生息する生物たちのノンビリとした空気、
そんな世界に放り出されたハンターの生活といった、
様々な要素の融合によって生み出された感覚。
というか、クエストを受注してから、
気付けば30分も鉱石を掘ったり卵を運んだりしていた自分に驚いた。
それも複数クエの総計ではなく、1クエに費やした時間である。
とても不思議な感覚であるが、同じように採取をしていても、
GEには常に「慌しさ」が付きまとう。
それはゴッドイーター達が常に武器を構えていることのように、
気を緩める暇がGEには存在しないからだ。
安全な場所などなく、いつどこからアラガミが現れるか分からない恐怖。
この場所から一刻も早く立ち去りたいという焦燥。
ただただこちらを殺しに襲ってくる、意志なきアラガミとの虚ろな戦闘。
そこには生物の持つ温かみなど存在せず、
早く任務を遂行せねばという使命ばかりが先立つ。
もちろん、それが悪いわけではない。
そういう空気作りに成功してるということでもあるので、
世界観の構築が完璧にできているという証でもある。
素早い立ち回り、自分の思い通りに動くアクション、スピーディーなモーション…。
それらはアクションゲームでは当たり前の「快感を与える要素」である。
しかしMHP2Gにはこれらはすべて存在しない。
ジャンプすらできず、攻撃動作はもっさりとし、回復するといちいちポーズを取る…。
むしろストレス要素の塊といっていい。
しかし、モンハンはこれでいいのだ。
この「どこかマヌケでノンビリした動き」こそが、
モンハンの世界のノンビリ加減と絶妙に融合するのである。
死闘を死闘と感じさせず、それもまた生命の営みであるように錯覚させるのである。
だから、GEでは一刻も早くアラガミを倒さねばならないと感じるし、
MHP2Gでは「もう少しノンビリしていこうか」となる。
似た形式を持つゲームでありながら、これだけ意識に差が出るのは実に面白い。
そしてこの意識の差こそが、モンハンの強みなのである。
GEは慌しいゲームだ。とにかくアラガミを倒すことが全てであり、
1ミッションがサクサクと終わることも相まって、どんどん先へと進みたくなる。
一方、MHP2Gには明確な「敵」がいない。
モンスターはただそこで生活してるだけであり、
飛び来る火の粉はハンターたちの方である。
ゆえにハンターはモンスターをハントしてもいいし、しなくてもいい。
勿論、モンスターを倒すことが目的であり、
それがすべてのゲームであることに違いはない。
しかしそれ(狩り)を強要されることはないのである。
よって、GEはストーリー(戦う理由)が終わった時に、強い喪失感を覚えてしまう。
達成感(満足)を得た、という表現の方が正しいだろうか。
それは他のゲームに共通するものであり、GEが特別なわけではない。
しかしモンハンは、そんなもの(ストーリー)に縛られない。
最強のモンスターを倒したとして、それで何かを得られるわけではない。
達成感はあるかもしれないが、
「じゃあ次は何を狩ろうか」という思考に切り替わるだけだ。
モンハンは明確な敵を持たず、成し遂げる目的も存在しない。
ゆえに極端にモチベーションが上がることはないが、
常に一定の値を維持し続けることができる。
そのエサとして装備の強化という要素がぶら下げられているにすぎない。
GEの場合は逆である。
装備の強化は生き残るための必然であり、すべてのアラガミは倒すべき敵だ。
だから高いモチベーションで一気に物語を進めたくなる力があり、
それに比例するように、目的を達成した後の脱力感も受けてしまう。
装備の強化はラスボスを倒すための手段であり、目的ではない。
ゆえに目的を達成した瞬間、「ここまででいいかな」と思ってしまえる。
この差こそが、長時間のプレイを可能にさせる「モンハンマジック」の秘密である。
何もマゾイ素材を要求する時間稼ぎなど必要はない。
ただ世界(ゲーム)にプレイヤーを放り込めば、
あとは勝手に延々と遊び続けてしまうようにできているのだ。
…と、これはGEとやり比べることで、改めて思い至った恐ろしい事実である。
両者は似たゲームでありながら、実はまったく対極にあったのだ。
GEが既存作品のフォーマットから抜け出ることができなかったように、
ただ「モンハンらしく」した所で、
モンハンになることはできないということの証明とも言える。
そしてこれは、
モンハンフォーマットでモンハンを超えることはできないということの証明でもある。
何故ならモンハンは、モンハンを構成する全てでもって、
異常なまでの中毒性を引き出しているからだ。
似たような狩りゲーを作っても、決してモンハンの領域に到達できないということは、
GEが身をもって示してくれた事実である。
つまり、このフォーマットで対抗しようとする限り、
「モンハン」を作るしか超える方法はないといえる。
GEが何故対極な作品になったのかというと、
これがモンハンのパクリではないという自負を持つためだったのだろう。
結果、モンハンのフォーマットから抜け出た代わりに、
既存作品のフォーマットに立ち返ってしまった。
それが良いか悪いのかは別として、GEでは――いや、どんな作品であれ、
モンハンフォーマットに頼る限りモンハンに対抗できないことが判明したのは、
大きな収穫なのかもしれない。
これを超える中毒性を生み出すのは…ちょっと思いつかないなぁ。
まぁ、そこはゲームクリエイターの方々の腕の見せ所、ということで。
オフライン代表として、今日発売された「絶対ヒーロー改造計画」に期待しようか。
一応、操作は身体が覚えていたのか、あまり混乱することはなかった。
まぁ、アイテムを咄嗟に使おうとするとセレクトボタンを押してしまったりはしたが。
いやしかし、こうしてやり比べてみると、色々と見えてくるものがあるもので。
まず、操作関係。
MHP2Gに先に慣れたということを差し引いても、
これは恐ろしく優秀な配置だったと思う。
特にアイテム選択の直感性は、考えた人を神と崇めても良いくらい優れている。
ゲーム中の作業を一切妨害せずに、動きながらアイテムを探す方式として、
実に優れたアイデアである。
多分、GE方式の方が、既存のゲームに慣れた人には受け入れ易いシステムだと思う。
ただし、積み重ねとして使用する場合、最終的にMHP2Gの方式が上回る感じ。
最初から長く遊ばせることを前提とし、
それでいてストレスの少ない形式として採用されたんじゃないかな。
次に、見た目。
GEのレビューをした時にも触れたけど、
GEは1エリア全マップ制を採用した代わりに、
グラフィックの質を落とすことになっている。
グラフィックは綺麗である方がいいのは当然であるが、
ゲーム性と天秤にかけた場合、グラフィックを選ぶのは愚かなことである。
GEはギリギリのグラフィック水準を保った上で、
ゲーム性を底上げしていると思うので、これに関して文句はない。
ただ、MHP2Gの世界は確実に美しい。
GEの世界が荒廃した世界であるという事実を差し引いても、
細やかなデザインの作り込みには改めて舌を巻く。
もうどれだけ見慣れた風景なのか分からないにも関わらず、
ここに帰ってきたという感慨と共に、思わず風景を眺めてしまったほどだ。
そして次の項目でもある「流れる時間」にも関わる部分であるが、
MHP2Gの世界は実にゆっくりと時間が流れている。
それは美しい風景と、そこに生息する生物たちのノンビリとした空気、
そんな世界に放り出されたハンターの生活といった、
様々な要素の融合によって生み出された感覚。
というか、クエストを受注してから、
気付けば30分も鉱石を掘ったり卵を運んだりしていた自分に驚いた。
それも複数クエの総計ではなく、1クエに費やした時間である。
とても不思議な感覚であるが、同じように採取をしていても、
GEには常に「慌しさ」が付きまとう。
それはゴッドイーター達が常に武器を構えていることのように、
気を緩める暇がGEには存在しないからだ。
安全な場所などなく、いつどこからアラガミが現れるか分からない恐怖。
この場所から一刻も早く立ち去りたいという焦燥。
ただただこちらを殺しに襲ってくる、意志なきアラガミとの虚ろな戦闘。
そこには生物の持つ温かみなど存在せず、
早く任務を遂行せねばという使命ばかりが先立つ。
もちろん、それが悪いわけではない。
そういう空気作りに成功してるということでもあるので、
世界観の構築が完璧にできているという証でもある。
素早い立ち回り、自分の思い通りに動くアクション、スピーディーなモーション…。
それらはアクションゲームでは当たり前の「快感を与える要素」である。
しかしMHP2Gにはこれらはすべて存在しない。
ジャンプすらできず、攻撃動作はもっさりとし、回復するといちいちポーズを取る…。
むしろストレス要素の塊といっていい。
しかし、モンハンはこれでいいのだ。
この「どこかマヌケでノンビリした動き」こそが、
モンハンの世界のノンビリ加減と絶妙に融合するのである。
死闘を死闘と感じさせず、それもまた生命の営みであるように錯覚させるのである。
だから、GEでは一刻も早くアラガミを倒さねばならないと感じるし、
MHP2Gでは「もう少しノンビリしていこうか」となる。
似た形式を持つゲームでありながら、これだけ意識に差が出るのは実に面白い。
そしてこの意識の差こそが、モンハンの強みなのである。
GEは慌しいゲームだ。とにかくアラガミを倒すことが全てであり、
1ミッションがサクサクと終わることも相まって、どんどん先へと進みたくなる。
一方、MHP2Gには明確な「敵」がいない。
モンスターはただそこで生活してるだけであり、
飛び来る火の粉はハンターたちの方である。
ゆえにハンターはモンスターをハントしてもいいし、しなくてもいい。
勿論、モンスターを倒すことが目的であり、
それがすべてのゲームであることに違いはない。
しかしそれ(狩り)を強要されることはないのである。
よって、GEはストーリー(戦う理由)が終わった時に、強い喪失感を覚えてしまう。
達成感(満足)を得た、という表現の方が正しいだろうか。
それは他のゲームに共通するものであり、GEが特別なわけではない。
しかしモンハンは、そんなもの(ストーリー)に縛られない。
最強のモンスターを倒したとして、それで何かを得られるわけではない。
達成感はあるかもしれないが、
「じゃあ次は何を狩ろうか」という思考に切り替わるだけだ。
モンハンは明確な敵を持たず、成し遂げる目的も存在しない。
ゆえに極端にモチベーションが上がることはないが、
常に一定の値を維持し続けることができる。
そのエサとして装備の強化という要素がぶら下げられているにすぎない。
GEの場合は逆である。
装備の強化は生き残るための必然であり、すべてのアラガミは倒すべき敵だ。
だから高いモチベーションで一気に物語を進めたくなる力があり、
それに比例するように、目的を達成した後の脱力感も受けてしまう。
装備の強化はラスボスを倒すための手段であり、目的ではない。
ゆえに目的を達成した瞬間、「ここまででいいかな」と思ってしまえる。
この差こそが、長時間のプレイを可能にさせる「モンハンマジック」の秘密である。
何もマゾイ素材を要求する時間稼ぎなど必要はない。
ただ世界(ゲーム)にプレイヤーを放り込めば、
あとは勝手に延々と遊び続けてしまうようにできているのだ。
…と、これはGEとやり比べることで、改めて思い至った恐ろしい事実である。
両者は似たゲームでありながら、実はまったく対極にあったのだ。
GEが既存作品のフォーマットから抜け出ることができなかったように、
ただ「モンハンらしく」した所で、
モンハンになることはできないということの証明とも言える。
そしてこれは、
モンハンフォーマットでモンハンを超えることはできないということの証明でもある。
何故ならモンハンは、モンハンを構成する全てでもって、
異常なまでの中毒性を引き出しているからだ。
似たような狩りゲーを作っても、決してモンハンの領域に到達できないということは、
GEが身をもって示してくれた事実である。
つまり、このフォーマットで対抗しようとする限り、
「モンハン」を作るしか超える方法はないといえる。
GEが何故対極な作品になったのかというと、
これがモンハンのパクリではないという自負を持つためだったのだろう。
結果、モンハンのフォーマットから抜け出た代わりに、
既存作品のフォーマットに立ち返ってしまった。
それが良いか悪いのかは別として、GEでは――いや、どんな作品であれ、
モンハンフォーマットに頼る限りモンハンに対抗できないことが判明したのは、
大きな収穫なのかもしれない。
これを超える中毒性を生み出すのは…ちょっと思いつかないなぁ。
まぁ、そこはゲームクリエイターの方々の腕の見せ所、ということで。
オフライン代表として、今日発売された「絶対ヒーロー改造計画」に期待しようか。