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TRPGの面白さのすべてがここにある! 『かけだし君主の魔王修行』新刊発売!

2015年10月20日 20:50

今日はリプレイが2冊に、『俺ツイ』10巻も買ってしまったので、ゲームやってる時間ががが。
本当なら明日は休みのはずだったのにー。休日出勤バンザイ!(血涙

でまぁ、1巻があまりに面白すぎて、続刊を今か今かと楽しみにしていた、
『グランクレスト・リプレイ かけだし君主の魔王修行』の2巻がついに発売されたのですよ!
もう何はなくとも、まずはこれを読むのは避けられないのであった。
つーか、2巻で終わりとか悲しすぎる…。

本来は、小さな村の領主から始まり、
近隣に巣食う魔物を退治しつつ、少しずつ領地を広げていくストーリーになるはずが、
プレイヤーの自由な選択と行動の結果、魔物たちの国の王(魔王)になっちゃった少女君主の、
笑いあり涙ありの、本当に面白い読み物でございます。
基本となるルールとか知らなくても全然楽しめるんで、一読を強くススメます!

前述の通り、プレイヤーの行動の結果で内容が大きく変わるのがTRPGの面白さですが、
リプレイというのは商品なのと、執筆者であるゲームマスター(GM)もベテランなので、
そうそう想定外のことにはならんのですよ。
たまにGMの想定から大きく外れることもあるけど(主役キャラが雑魚戦で死ぬとか)、
大半は、そこまで大きな変更がなされることはありません。
多少の想定外はアドリブで修正できるものですしね。

それでも、読み物として十分以上に面白い作品は多いわけですが、
本作に限っていえば、道を外れまくる自由さが大暴れしていて、TRPGだからこそのライブ感や、
デジタルゲームでは不可能な柔軟なストーリーテリングが楽しめる、
「TRPGならではの面白さ」が、これでもか!と詰まっているように思います。
そもそも、1話目からして、何で魔王になってるんだという話ですからねw

TRPGは、誤解を恐れず言うならば「戦うゲーム」です。
プレイヤーは自分の分身をひたすら強化することを望み、
より強大な敵を倒すこと(そこから得られる報酬)に喜びと達成感を得るものです。
シナリオの最後には強敵との戦いが待っており、
いかにしてそれを叩き潰すかを楽しむのが基本です。
この辺は、デジタルゲームのRPGと共通する部分でしょう。

しかし、TRPGは本来「自由」なゲームです。
なので、「戦わない」ことを選ぶこともアリなのです。
まぁ、基本的にプレイヤーはレベルアップして強くなった自分のキャラクターを活躍させたいし、
GMもそれを理解しているので、シナリオの最後には激しいボス戦を用意するんですが、
「それだけがTRPG」ではない、ということを、本作は思い出させてくれます。

本作の主人公・エルザは、徹底した非戦主義者で、とにかく戦いは避ける方向で動きます。
敵はなるべく殺さずに、仲間もどうにか死なせずに、平和に仲良くラブ&ピースがモットーです。
まぁ、そんなだから魔物たちに同情して「優しい王様」になっちゃったわけですがw

で、GMとしては、やっぱり戦闘を入れたいので、
あの手この手で戦闘から逃げられないシチュエーションを用意するんですが、
エルザは想定の斜め上をいく発想で、戦闘を避けようとしてくるんですね。
で、GMがそれを「ダメ」と否定せず、きちんと受け止めた上でシナリオを柔軟に変化させていくので、
読者的にも先の読めない、ライブ感あふれる展開になってるわけです。

…と、書くだけなら簡単ですが、実際に読んでみると、色々な意味で紙一重なんですよね。
まず、エルザの非戦主義は、「戦う物語」である『グランクレスト』では異端なので、
「戦いたくないー」と言うだけでは何も変わらないんですね。
となると、その行動には相応のリスクが発生するわけで、
GMがそこに関して、割と容赦がないんですよ。
具体系には、割とアッサリと仲間が死ぬ(シチュエーションが発生する)。
選択を間違えたり、判定で悪い目を出したら問答無用で死! 全滅!
そんな危うい状況の中で、それでも最善を求めて足掻くエルザの姿に、
自然と目頭が熱くなってくるのです。

特に今巻はクライマックスということもあって、シビアな場面が多々あります。
しかし、ただキツイだけではなく、エルザの行動の結果が活きてくる場面もあったりして、
今までのことは無駄ではなかったのだと実感させてくれるのです。
いや本当に、良質の物語を読んでる気持ちよさが凄まじいですよ。
「ここに繋がるのか!」というのが、まさにラスボスの処遇を決める段において発生しまして、
確かにエルザはずっとそういうスタンスだったよ…と、脱力と笑いと感動で大変なことに。

正直、2巻で終わるのは本っ当に勿体無いくらい面白いんですが、
2巻でまとめたからこその濃密さもあるので、痛し痒しというやつですね。
ああ、でも、もっと読みたかったなあ。

TRPGの本質的な面白さを知りたいなら、これを読んでみることをオススメします。
ここまで自由に遊べるゲームは、他にはないと断言できます。
やっぱりTRPGはいいなあ!

TRPGならではの物語性

2015年09月04日 21:27

何度読んでも面白い。そして毎回ボロボロ泣いてる。
『ダブルクロス・リプレイ・メビウス』、名作です。

さて、物凄く面白い作品がリプレイにはたくさんありますが、
これが漫画化、小説化、あるいはアニメ化するのは、非常に稀です。
また、もし他媒体になったとしても、リプレイ時の面白さを再現するのは困難です。

それは、TRPGは「物語」ではなく、「ゲーム」だからです。

「ゲーム」は自分でプレイした結果が反映されます。
リプレイはそれを文章化したものであり、それは空想の物語ではなく、
実際に起こった出来事になります。ここがもう、ただのフィクションとはまるで違います。
つーか、ノンフィクションなので、当たり前です。

だからこそ、TRPGには「ご都合」が存在しません。
実際にはGMの優しさ(←ここ重要!)でご都合が発生することは多々ありますが、
商業リプレイでそれをやると非常に白けるので、無いと信じたいです。
つーか、あったら度々発生するGM涙目の大惨事は存在しないはずですから。

で、ご都合がないことの理由としては、「実際に判定した結果」だからです。
その「結果」は自分の力で勝ち取ったものであり、
決して作者の怠惰の結果の産物などではありません。

ブログ内で何度も書いてますが、私はご都合展開が嫌いです。
実際には、そこまで毛嫌いはしてないんですが、あまりに作者が何も考えてないような、
理由もなく伏線も張られず、とにかく都合よく主人公が活躍しちゃうような話を見ると、
速攻で古本屋に売り飛ばしたくなります(つーか、そういう本の大半はもう手元にありません
まぁ、だからチート系の話が好きじゃないってのもあるんですがー。

で、TRPGリプレイに目をやると、「物語」としてだけ見た場合、
実にご都合展開がゴロゴロ転がってるんですよね。
「いやいや、その展開は都合よすぎじゃね?」ということはしばしばあります。
でもリプレイなら許せてしまう。
何故ならそれは、プレイヤーが考え、行動し、判定した結果のものだからです。
ご都合展開になった「理由」が、きちんと存在していることが、読者には分かっているので、
となればそれはもう、「ご都合」ではないのです。

つまり、そういう「裏側」が見えることによる物語の補完ができるのがTRPGリプレイの良さですね。
プレイヤーの思惑が分かっているから、キャラクターの行動の原理も読者に理解できる。
特に何もしなくても、キャラクターへの理解が深まるというのは、実に便利だと思います。

なので、今、アニメ版の『ケイオスドラゴン』の評判がメッチャ悪いのは、
そういう理由なんじゃないかと思ったり思わなかったり。
いやー、アニメ化って一番ハードル高い気がしますね!

以前、旧ソードワールドの人気シリーズ「へっぽこーず」にアニメ化の話があったそうで、
でも流れたと聞いた時は、もったいないことをしたと思ったもんです。
しかし、今になって冷静に考えれば、あれをそのままアニメにしても、
凡百のファンタジー物の1つとして埋もれていたように思います。
ドラマCDは結構面白かったけど、あれはGMの語りがあったからねぇ。

あと、歴史あるシリーズも難しいですよね。
私はこの『メビウス』はメッチャ動画で見たいんですが、
しかしそれにはまず『ダブルクロス』という作品の説明が必要になるので、
そのためには最低でも2ndシリーズの初期作品くらいからアニメにしないと…って、壮大すぎるわ!
だからといって、いきなり最新エピソードを制作・公開しても、
ファンしか喜ばない狭い範囲の秀作で終わってしまいますから、本当に難しい。

例としては、あまりにも説明が足りなかった『ゴッドイーター』とかがあります。
まぁアレは、それ以前の問題も多々抱えてるんですが、
作品の世界観を視聴者に理解させないまま物語を進める危険性を知るには、
丁度いいサンプルだったりするんですよね。
人気キャラを出すだけではダメだという見本です。

そんなわけで、TRPGって本当によくできた媒体だよなあと思いつつも、
メディアミックスの難しさにも思い至ったりするわけで、
こりゃ確かに一般に浸透させるのは無理かもわからんね、という感じでございます。
そういう意味では、FEARは上手くやってると思いますけどね。
ドラマCDなら大量に出してるもんなあ。しかもよくできてるし。
GM無しの「物語」として、上手く昇華されています。
そういえば、『ナイトウィザード』も凄く丁寧に作られた名作アニメでしたね。
うん? つまりナニか? 要は監督や脚本次第ってこと?

…残酷な事実が見えてきたので、これにて。

SW2.0リプレイ『新米女神の勇者たち』を再評価してみる

2015年07月29日 19:31

老害って呼ばれる人は、感情的に取り返しのつかないことを簡単に言う人のことだと実感。
あの年代の人間はすぐに「クビだ!」とか「辞めろ!」とか言うんだけど、
後先考えて発言して欲しいよなあと思う。
今はもう時代が違うんだから、それでみんな大人しく従うわけじゃないのよ。
それでいて人手不足になったら、他人のせいにするんだから始末に負えないわ。はあ。

そんな愚痴をこぼしつつ、今日はお休みだったので、ノンビリと読書に勤しんでおりました。
最近はリプレイの発刊数が明らかに減っているので、以前のリプレイを読み直してるわけですが。
で、今はSW2.0初期の名作『新米女神の勇者たち』シリーズを読んでました。
何気に今もシリーズが続いてるんですよねぇ。すげぇ。

まぁ、それも納得の面白さです。
個人的に、TRPG界隈でのGMとしては日本最高峰の一角だと思ってる秋田GM作品なので、
それだけで面白さは保証されてるわけですが、それでも1巻が出た時は、微妙だったんですよねぇ。

というのも、ルールブックと同時発売でありながら世界観やルールの説明が明らかに足りておらず、
未だラクシアという新世界に抵抗のあるフォーセリア住民が多い読者達の心をつかむには、
かなり力不足だったのですよ。
この辺、同発の『たのだん』でフォローできてると思ったのかもですが、
藤澤GMでは新世界のアピールには足りなかったというか、
私は藤澤GMって結構好きですけど、どちらかというとプレイヤーで光るタイプですよね、あの人。

なので、スタートダッシュに失敗した象徴のような印象があるんですが、
2巻3巻と巻を重ねるほどに面白さを増していきまして、気がつけば大ファンになっておりましたw

何が凄いって、やっぱり適応力ですよね。
それだけ下準備をしっかりやってるのだとしても、想定外の事態に対する対処力が半端ない。
あと、プレイヤーの行動を縛らず、よくここまでストーリーテリングできるなあと思います。

FEAR系リプレイでよく使われる「ハンドアウト」や「トレーラー」というのは、
無法地帯になりがちなTRPGに方向性を持たせて、
GMやプレイヤーの負担を軽減するいいシステムだと思うんですが、
同時に自由度を奪う仕組みでもあります。
「今回はこんなシナリオやりますよ」「だからこんなPC作ってね」という前提があるので、
迷いなくラストまでスムーズに辿り着ける反面、道を逸れるのは非常に難しい。
もちろん、まったくレール通りということはありませんが、
SNE系リプレイと読み比べてみれば、違いは歴然でしょう。
あ、どちらが優れてるという話ではないですよ?

で、私はソードワールドからリプレイに入った人間なので、
やはりプレイヤーが自由にやってる感のあるSWシリーズがしっくり来ます。
しかし同時に、そのプレイの難しさも知ってるので、凄いなあと思うんですよね。
だって、私はそれができないから、
本来SWにはないハンドアウトシステムを使ってGMやってるんですから。
この辺の柔軟さは、TRPGならではの良い部分だと思ってますので。

さて、話を戻して、改めて『新米女神』シリーズが何故面白いのか考えると、
それはこれまでの他のリプレイを振り返るとよく分かります。
それは、SW2.0の構造的欠陥が機能してないからですね。

どういうことかというと、SW2.0は、旧SWから大きく変わった部分として、
ターン制バトルを採用しています。
最初にイニシアティブを取ったグループが先行として動き、
味方側の全員が行動終了したら、次は敵側の行動に移る、というアレです。

このシステムの利点は、戦闘を簡略化できること。
それでいて、味方の行動順番を自由に入れ替えられるため、戦略の幅も広がります。
欠点としては、先行が有利すぎて、高レベルになると範囲攻撃で殲滅する作業になりがちな点。
この辺は、昨今のリプレイシリーズを読めば実感できます。
とにかく先制範囲攻撃で敵戦力がズタボロにされてGMが泣いてる場面が多い。
最近ではいやらしい特殊能力を持つ敵が増えて、対抗策も出てきてますが、
それはそれで折角のPCの成長の意味が薄れるんですよねぇ。難しい。

で、『新米女神』ですが、初期リプレイだけあって、まだ戦術が確立されてないこともあり、
色々な「無駄」があるんですよね。エアのシューター技能とか全然使ってないし。
でも、そういう「無駄」があるからこそ、色々な行動もとれるわけで、
一番古いリプレイシリーズでありながら、今読んでも…逆に、今読む方が新鮮だったりしますw
先制範囲魔法が飛ばないだけでも新鮮。

だからこそ、戦闘が非常にリスキーになっています。
割と純粋に前衛の力押しに頼る場面が多いため、ギリギリな戦闘が多いんですよね。
特に本編シリーズのラストバトルなんかは、本当にドラマティックでした。
よくこんなギリギリのバランスでシナリオ作れるよなあと、しみじみ感心します。
…ギリギリすぎて何人か死んでるのはラストバトルだから、ね。

この戦闘に関する部分は、本当にこのシリーズならではの部分なのです。
他にも陰謀や伏線が随所に散らばってるシナリオ構築がすごいとか、
プレイヤーの行動に対する状況変化をきっちり管理する能力であるとかありますが、
それは秋田GMの実力であって、ゲームシステムとは関係ない部分なんですよ。
なので、やはり何が面白いかというと、このチグハグなキャラクターたちによる、
効率の悪い戦闘が見どころなんじゃないかと思うわけです。
もちろん、プレイヤーたちがその中で最善を尽くそうとするからこそ、ですが。

TRPGもゲームなので、やはりどうしても効率の良い方向に流れがちです。
シリーズが続くほどに、戦術も固定化されてしまい、マンネリが積もり始めます。
もちろん、商業リプレイなので、そういうマンネリ打破のため、
違うアプローチでキャラクターが作られたりはするんですが(追加データの紹介とかもあるし)、
だからといって、明らかに手を抜いてしまうと読者にバレて興醒めになります。
さじ加減も難しいですよね。

だからこそ、今一度原点に戻ってみるのも面白いものだと思います。
せっかく買ったものですし、読み捨てるには惜しい面白さですから、
その魅力を再発見するのも楽しいものですよ。
なので、レッツ昔のリプレイ再読!

時間があれば『アリアンロッド・サガ』を全部追いたいのだけど、
さすがに50冊近いシリーズ全部は時間がー。
とりあえず、次は『新米女神』の第2シーズンでも読もうかしらね。
既存リプレイがほぼ揃ってる我が家のリプレイ書庫っぷりにウットリしますわw

名作! グランクレスト・リプレイ『かけだし君主の魔王修行』

2015年04月25日 10:49

私は「不殺」を貫く主人公が嫌いです。

悪党には相応の裁きを、罪には罰をを信条としている身としては、
大罪を犯しながらも主人公の温情で生き残る展開に納得がいかないのと、
単純に爽快感が足りないですよね。
もうウダウダ言ってないでさっさとやっちゃえよ!と言いたくなる。

あと、その「不殺」設定は、物語の都合で作者が設けた「舞台装置」でしかないので、
何もかもが綺麗事、単なる演出、ご都合に見えてウンザリする、ということもあります。
本当にそのキャラクターが望んでいることなのか?という疑念を抱くというか。
単に作者に都合よく踊らされてるだけな気がするんですよねぇ。

しかし、ここで登場したのが、前回の記事で少しだけ紹介した、
グランクレスト・リプレイ『かけだし君主の魔王修行』。
「リプレイ」とは、TRPGという人と人との会話で遊ぶゲームを実際にプレイして、
その様子を文章に書き起こし、どんな冒険が繰り広げられたのか、
どんな雰囲気のゲームなのかを伝えるための読み物です。

つまり、この物語に登場するキャラクターは、すべて実際に人間が演じています。
中の人などいる!ということですね(ぇー

そして、本作のヒロインとして登場する君主(ロード)、エルザという少女は、
もうとにかく殺しません。まずは対話を試みて、それがダメでも殺しはNG。
暴力に訴えるのは最後の最後の最後の手段、という雰囲気のキャラクターです。

私の好みからすれば真逆なキャラクターのはずですが、
演じているのが血肉の通う人間で、その人がリアルタイムのアドリブでやっていることなので、
それはつまり「本心からの行動」であることが伝わってきます。
要するに、「やらせ」の匂いがまったくないんですね。
だから、素直にその行動が腑に落ちるのです。
読み終わった後、私はエルザが大好きになっていました。いい子すぎるだろ(ノ∀`)

TRPGの大半は戦うことがメインのゲームなので、
戦闘を忌避することは、プレイの妨げになる場合があります。
しかし、キャラクターの行動に正当性があり、それが真っ当で道理が通るものであれば、
その言動を採用して物語を進めることもできるのがTRPGの面白いところ。

特に本作はプレイ開始からゲームの進行役であるゲームマスター(GM)の予定を外れまくり、
退治するはずのゴブリンを何故か助ける展開になったと思えば、
気が付けば魔物たちの君主(魔王)として国興しをすることになるという、
今までにない、そしてグランクレストという特異な世界観だからこそできる、
柔軟性に富んだ物語が展開していきます。

舞台は人間社会から追われ、逃げ出したはぐれ者たちが住まう「魔物の地」。
人間を憎み、嫌い、排斥しようとする彼らに対し、
エルザの真っ直ぐな心が、頑なな心を解きほぐしていきます。
テーマ的には明らかに重いはずですが、どこか呑気な掛け合いが、
本を読む手を早めてくれます。とにかくエルザたちのやりとりが面白いんですw

そして、中村やにおGMは、序盤で笑わせ、後半で泣かせるのが上手い人です。
GMの物語の構成の上手さもありますが、
それに加えて、エルザの行動が本当に泣ける!そしてカッコイイ!
ここまで一貫して「助けを欲する人はなんとしても助ける!」という信念を貫く様は、
単に甘いだけのご都合キャラクターではなく、王としての器の大きさとして表れています。

また、エルザをとりまく他のキャラクターたちのドラマもいいのです。
特にエルザの幼なじみであるジェイドは、過去の出来事を引きずるキャラなんですが、
その彼が過去の闇から光を見出す場面など、涙腺崩壊必至。
というか、後半はもう常に泣きながら読んでましたよ(ノ∀`)
イエティくんとか反則だろ…こんなん絶対泣くに決まってるじゃん…。

とにかく「不殺」を貫いたエルザの生き様が本当にカッコイイので、
本来、あまり好きなタイプではないキャラクターのはずが、気が付けばお気入りになっていました。
ここまで徹底してると、いっそ清々しい。

是非とも2巻、3巻、4巻、5巻と(おひ)続けてもらって、
できるだけ長く、彼女たちの活躍を見る機会が増えることを祈るばかり。
もう本当にメチャクチャ面白いので、店頭で見かけたら、迷わずレジにダッシュですよ!
いやー、やっぱりやにおGMのリプレイは最高だぜ!

SW2.0とグランクレスト

2015年04月24日 17:16

ドラクエ10のログイン数グラフみたいなのが公開されてて、
「未だにユーザー増えてる!すげぇ!」とかいう記事を見たのだけど、
リアル友人の7アカプレイとか見たら、こんなデータに意味がないことが分かる虚しさよ。

久しぶりのTRPG雑記、今月ついに完結してしまったドラゴンレイドのリプレイや、
グランクレストの面白さ等、とりとめもなく書いていきます。

まずはドラゴンレイドー。これ、盛り上がってるのかなあ?
SW2.0の新しいシリーズではあるんだけど、なんか地味。
『千竜と刃の革命』シリーズはベーテGMだしキャラも立ってるしで超面白かったのに、
3巻で終了とか短すぎるだろ!

あとがき読む限りでは、予定通りみたいなんだけど、
なんだかんだで、やりたいこと一杯あるとか書いてるし、打ち切りを疑っちゃうなあ。
そもそも、皇帝竜の話とか完全に投げっぱなしなんだけど、
こっちは小説版とリンクしてるってこと?
クロスオーバーとしても中途半端な気がするのよな。

くそー、もっとイルムとロルフのイチャコラが見たかったのに…。
あの不良ドワーフ娘がメッチャ好みで、毎回楽しみにしてたのになあ。くそう!くそう!

ドラゴンレイドのリプレイシリーズは3作あって、同じテーマを扱いながらも、
それぞれが完全に独立してるため、アリアンロッド・サガみたいな超大作とは違い、
入りやすいシリーズになっています。
とゆーか、今までのリプレイシリーズと同じ気持ちで読んで全然問題なし。
更に、どれこもこれもが物凄く面白いので、もっと続いて欲しいんだけどなあ。

『できそこないの転生伝承』シリーズは、SW2.0でありながら、時間移動を扱った異色作で、
過去での行動が未来に影響する仕組みがTRPGの自由さと相性がよくて、
GM負担は大きいけれど、TRPGの可能性を見られる凄いリプレイです。

『竜の学舎と守護者たち』シリーズは、安定の秋田GMの作品。
幻獣たちの学校の先生となった冒険者たちの、これまた変わったリプレイです。
ほのぼのとした雰囲気の中にミステリー的な要素も入り、先が気になる!

いや、本当にどれも標準以上に面白いだけに、もっと盛り上がって欲しいですな。

続いてはグランクレストー。
これ、矢野さんがこっちにかかりきりになった結果、
完全にダブルクロスが沈黙しちゃったんだけど、悲しすぎるだろ…。
3rdの展開はもうリプレイ含めて終了なんだろうか…。

で、こちらも手広く展開してる割には…という印象なんですが、どうなのかしら。
ゲームとしては、物凄く面白そうなんですけどね。
だってこれ、実質なんでもアリじゃないですか。
ファンタジー世界に女子高生を登場させることすら可能なメチャクチャな世界観とルール、
これで破綻してないのが凄いですよね。
最近のラノベっぽい設定でゲームができるTRPG、それが『グランクレスト』(違

で、グランクレストの面白さを伝えるには、
今月発売された『かけだし君主の魔王修行』がオススメ!
なんかラノベっぽいタイトルですなw
内容もタイトルそのまんまでございます。TRPGならではの話の転がり具合が面白い。
何でゴブリン退治から魔王になる話にすっ飛ぶんだw

GMはダブルクロスの『アカデミア』『メビウス』の絶妙なストーリーテリングで、
一気に大ファンになってしまった、中村やにお氏。
作中でプロデューサー(アイマス的な意味)であることを暴露するフリーダムさも健在。
今回の話も超面白いし、グランクレストの入門としても分かりやすい良い本です。
本当はダブルクロスで佐藤有世さんと新しいシリーズやって欲しかったんだけど、
こっちもすげぇ面白いから、きちんと人気出てシリーズ化して欲しいですね。

で、グランクレストは、戦乱の大地を舞台としたゲームで、
国造りや部隊によるマスコンバット等もルール化されており、
これがまた上手くできてるんですよ!

特に先月発売された『ノートリアス』というリプレイを読むと、
ルールそのものの面白さがよく分かります。
このリプレイは巨人と戦う物語なんですが、
巨人が1匹で大部隊と互角に戦うことで巨人の脅威を表現したり、
逆に大人数で1匹を押しつぶす等、「数の脅威」の表現性の高さが凄く高いのが驚き。
分かりやすいのに上手くマスコンが表現できてて、面白いなぁと感心してました。
あと、国造りで何を重視するかで、恩恵が色々変わるというのも個性が出ていいですね。

ただ、『ノートリアス』は硬派すぎて、これは売れないと思います(おひ
紅一点のヒロインが20代後半とかリアルすぎる。
そして腐受けを狙うにしても、分かりやすいイケメンがいないw
文章も独特でクセが強いので、人を選ぶのが珠に瑕。
でも、ゲームとしての面白さはよく描けてると思いました。

最近はアリアンロッドが元気ないためか、
リプレイの刊行数が減ってきていて、寂しいったらないです。
基本的にリプレイは宣伝の意味も含んでるので、新しい追加データとか出ないと、
新作も企画として通り難いんですかねぇ。
もっとダブルクロスで何か読みたいんですけど。つーか、矢野先生の小説の続きは!?

色々と傷心気味なので、昔のリプレイでも読み直したい気分です。
イルムのイチャコラが見れなかった分、『waltz』で発散しようか…。
ホント、PC同士がガチ恋愛するリプレイとかこれ以外に見たことないんで、
古本屋等で見かけたら、速攻でゲット推奨。ニヤニヤが止まらんこと必至ですぜ。



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