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PSP「クリミナルガールズ」総評

2011年02月24日 13:50

見た目に反し、驚くほどしっかりと作られたRPG。イロモノと侮ってると火傷するぜ!

【クリア時間:20時間 個人評価:9 一般評価:8 クリア後隠しダンジョン有り】

公式サイト

未来に犯罪者となる可能性のある者が、犯罪を犯す前に死んで地獄に落ちた時、
彼らに現世へと甦るチャンスを与えるシステム「ヨミガエリ」。
ただ生き返らせるだけでなく、現世で犯罪者にならないように、
試練を与えて更生を促すプログラムでもある。
その「ヨミガエリ」に参加する、
犯罪者未満の「半罪人」の少女たちを導くのが主人公の使命。
彼女たちは犯罪者予備軍だけに、一筋縄ではいかない者ばかり。
おしおきという名の調教を駆使して更生を促しつつ、
地獄の塔の最上階を目指すのだ!

「少女おしおきRPG」の名の通り、半罪人は少女ばかりが7人。
プレイヤーは引率の先生として彼女たちに同行するが、直接戦闘に参加することはない。

形式はオーソドックスな見下ろし型2DRPG。
ドラクエタイプと言う方が分かりやすいだろうか。
戦闘もドラクエ的なシンプルな物である。

しかし、このゲーム最大の特徴は、戦闘時にキャラクター個別に指示ができないこと。
戦闘に参加しているキャラは1ターン毎にそれぞれ作戦を提案してくるので、
プレイヤーがどれかひとつを選ぶと、それに応じた行動を取るようになっている。

このシステムの面白い所は、戦闘が単調な作業になり難い点。
最適行動が取れない歯痒さは確かにあるが、
少女たちは賢くはないがバカでもない絶妙な行動提案をしてくるので、
致命的状況でどうしても必要な行動をしてくれないというイライラはほぼ無い。
また、どうしても行動がランダムになるので、
常に似たような行動を繰り返す単調さがなく、レベル上げも作業感が和らいでいる。

ボス戦はどれも歯ごたえ抜群だというのに、
やはりこのランダムさが程よい緊張感を生む役に立っていて、
過剰にレベル上げをしても、運用次第では苦戦は免れない。
しかし逆に、作戦がハマると実に爽快。
主人公が教官という立場にあることも相まって、
生徒たちの成長が微笑ましくなってくる。
戦闘システムがキャラクターとの一体感に繋がる上手いシステムである。

キャラの総数は7人だが、戦闘に参加できるのは4人まで。
しかし、1ターン毎に1人だけメンバーを入れ替えることができるため、
キャラチェンジによるアクティブな戦闘は実に思考性が高い。
そしてどのキャラもそれぞれが特性に偏りがあり、
全く使えないキャラというのは存在しない。
常に誰かに役割が生まれるバランスが、キャラ立ちにも一役買っている。

戦闘以外の特徴的なシステムは「おしおき」。
戦闘などで手に入る「OP(お金みたいなもの)」を消費することで、
各少女たち個別に「おしおき」というミニゲームを行うことができる。

ミニゲームはおしおきの種類で異なり、高得点を出せば多くのポイントが貰える。
このポイントが一定数貯まると(おしおきの)レベルが上がり、
キャラはスキルを覚えていく。

これは、最初はやる気のない少女たちを調教指導することで、
徐々にやる気を出させていくということを表現している。
つまり、おしおきする程に、少女たちが提案する作戦に幅が出るということだ。

また、最高レベルでのおしおきをパーフェクトに成功させると、
ちょっとエッチな1枚絵を見ることもできる。
これはクリア後に開放されるギャラリーモードでいつでも閲覧できるようになるので、
ちょっとした収集要素にもなっている。

ちなみに全スキルを覚えたおしおきは、
その後は消費0でいくらでもプレイできるようになるので、
繰り返しプレイは簡易であることを付け加えておく。

さて、実はこれらの説明だけで、このゲームのすべては説明できてしまっている。
キャラの強化は経験値を貯めるレベルアップ方式と、おしおきによるスキル習得のみ。
装備などの要素は一切存在しない。

しかし、このシンプルさが、
昨今の無駄にゴテゴテとシステムを取り付けて煩雑になったRPGとの対比になり、
プレイ前からウンザリするようなことを無くすことにもなっている。
レベルは普通に進めていれば勝手に上がるので、
プレイヤーはこのゲームの中核である「おしおき」に集中できるという利点もある。

スキルには任意で戦闘を発生させるものや、逆にエンカウントを0にするものもあり、
ダンジョン探索やレベル上げがプレイヤーの任意でできる点もありがたい。

セーブポイントは随所にあり、
それぞれはワープで繋がっているため、階層間の移動も実に容易。

ロード時間はほぼ無し。読み込み時間に関してストレスを覚えることはないだろう。

すべからく快適に遊ばせる作りになっているが、
それに伴う戦闘(主にボス戦)のシビアさが、プレイを引き締めることに成功している。

ストーリーも秀逸で、特に後半の怒涛の展開は、プレイヤーを一気に引き込む力がある。
特にランダムエンカウントを無くした第3層の演出は見事で、
それまで空気に近かった主人公にスポットを当て、
プレイヤーが主人公であることを認識させてくれる構成が心憎い。
そして、ここをきっかけに、おしおきや戦闘中のボイスにも変化が現れ、
少女たちの意識の変化を視覚的にも実感させてくれる。

また、序盤はどうにも塔を上るモチベーションが曖昧であるのだが、
塔を上る度に目的意識が生まれていくのも上手いと思う。

いまいち犯罪者という感じが薄い少女たちの罪状が一気に明らかになる第4フロアは、
その見た目のインパクトから圧倒されることだろう。
これは「世界樹の迷宮」をプレイしたことのあるプレイヤーには、
ちょっとしたご褒美だと個人的に思うのだがどうか?

かように、個人的に凄く面白いゲームだとベタ褒めしたいのだが、
当然、不満なところもある。

まず、最大の問題点はダッシュが無いこと。
ダンジョンの広さを考えると、ダッシュがあると雰囲気が壊れるとか、
すぐにゲームが終わってしまうとか色々と実装しなかった理由も分かるが、
何度も同じ場所を行ったり来たりするゲームであるので、
ダッシュがないのは単純にイライラする要素である。

もうひとつは、おしおきに必要なOPが莫大であること。
常におしおきを完遂してから先に進もうとすると、
無駄にレベルが上がりまくることになる。
まぁ、そうしてもボス戦は結構厳しいとはいえ、
単純に稼ぎ作業が面倒なのは致し方なし。

おしおきのご褒美である1枚絵に関しても少し不満がある。
確かにいちいちエロいのだが、もう少しおしおきに即した絵だったらよかったのに。
何でローションプレイでドロドロのベタベタになってないんだ!(ちょ

ダンジョン構造が単純すぎて、迷わない代わりに踏破している感覚が薄いことや、
目的地がいちいちマップにキチンと表示される親切設計は、
「優しすぎる」と言われても仕方ないレベル。
まぁ、おかげで無駄にダンジョンを歩かされることもないのは利点でもあるが、
人によっては「やらされてる感」を抱いてしまうかもしれない。

あとはボリューム。
個人的には気にならなかったが、1週クリアに20時間程度というのは、
昨今のRPGを考えると短すぎる。
もちろん、クリア後の隠しダンジョンや真エンドなどを目指せば、
30~40時間くらいまで楽しめる作品だと思うが、
ボリューム不足と感じる人が出ても仕方ないとは思う。

とはいえ、無駄にプレイ時間が長いゲームが良いゲームなわけでもないので、
短い中でキッチリと表現したいことが詰まっているこの作品は、
実に優秀なゲームだと評価したい。

それに、プレイ時間が短いのは、
新しい街に着く度に情報収集したりする手間が省かれてるだけのことなので、
密度という意味ではむしろ濃い。

ちなみにキャラ個別にエンディングがある仕様だけど、
ラスト直前にパートナーを選べるので、
面倒なことが無い嬉しいマルチエンド仕様である。
パートナー選択直前のセーブデータを残しておくことだけは忘れないように。

また、そこでパートナーに選んだキャラは、おしおきが少し変化し、
セリフもニヤニヤが止まらないものになるので、
是非とも全員とイチャラブして欲しい。
みんな可愛いんですよ、これが。


以下、キャラ個別雑感(若干のネタバレ含む)

・キサラギ
金髪ツインテールでツンデレという、見事にテンプレな萌え要素の塊。
デレた瞬間から本当に可愛くなる。ヤバイ。
最も罪ともいえない罪で地獄に落ちてきた気がする可哀想な子でもある。
でもスキル構成を見ると盗みもやってたのかしら?

世界樹的に言うなら、クラスはダークハンター。
状態異常を駆使し、アイテムやOPを盗み取る支援系だが、攻撃力もそこそこ高い。
とりあえず最初にアイテムを盗んでもらって、それからシンと交代するのが、
個人的な常套戦術である。


・ラン
ヤンキー眼鏡巨乳という、どの層を狙っているのか分かり難いキャラ。
しかし、おしおきグラフィックの可愛さと、過去の悲惨さは随一。
このゲーム、詳細な過去設定は出さないのだけど、それが逆に妄想を掻き立てる。

世界樹的に言うなら、クラスはパラディン。
攻撃系かと思いきや、実は仲間を守る盾役というのがポイント。
戦闘指示が出せないゲームながら、
ガードして欲しい時はちゃんとガードを提案してくれるので安心していい。
挑発&カウンターという素敵スキルも持つ、優秀な壁役。
トモエとの連携技も強力。


・トモエ
ストレートロングの黒髪に巨乳でおっとり系の京都弁美人。狙ってる。
巫女っぽい囚人服に、居合いの構えが様になっている。
最も地獄に縁遠い雰囲気を出しながら、最も地獄行きに納得できる理由を持つため、
過去を知った時、そのギャップに戸惑うかもしれない。

世界樹的に言うなら、クラスはブシドー。
随一の物理攻撃力と、紙のような装甲とヒョロイHPの持ち主。
前衛に置くのは色々心配なのだが、攻撃力やスキルが魅力的すぎて、
ほぼレギュラーメンバーと化していた。

オートスキルが「魅了」というのが不思議なのだが、
このゲーム、キャラの特性と過去がちゃんとリンクしてるから侮れない。


・シン
天才系タカビー少女…を装う、ヒキオタニート。
そのネットスラング全開の喋りは多くのオタクの共感を誘う。
レベルアップ時の「レベルアップktkr」というセリフが超好き。可愛い。

世界樹的に言うなら、クラスはゾディアック&プリンセス。ちょっと厳しいか。
指揮官クラスで、他のキャラに追撃を促すのが非常に便利。
ラン、サコ、アリスは常にレギュラーメンバーにしておき、
状況に応じてシンを前に出して追撃が機能するようにしておくと使いやすい。


・サコ
猫耳のような髪型がチャームポイントのユコの双子の姉。
頭の悪い喋り方が特徴なのだが、その過去を知ると驚くか納得するかの二択。
個人的には普通にしてる方が可愛いと思うんだけどなー。
近親愛者でレズビアンって、どんだけ倒錯してるのかと。
能天気元気系キャラとのギャップ萌えなんだろうか?

世界樹的に言うなら、クラスは殴り専門のモンク。
純粋な戦士系だけに、攻撃力とHPの高さはピカイチ。
メンバー選択に困ったら、とりあえず入れておけば間違いはない。


・ユコ
こちらも猫耳(犬耳?)のような髪型がチャ-ムポイントのサコの双子の妹。
内向的な甘えん坊の腹黒系なので、好みが分かれそうなキャラである。
立ち絵はあんまり可愛いと思わないのだけど、おしおき絵になると化ける。エロい。

世界樹的に言うなら、クラスはメディック。
回復系はレギュラー入りは厳しいが、戦闘中の入れ替えシステムの存在と、
状態異常が厄介すぎるゲームなので、活躍の機会は多い。
もっと積極的にキサラギとの連携技を使ってくれるとありがたいのだが…。


・アリス
ロリ担当の電波系オカルト少女。
常にオドオドしてるため、おしおき時はS心を刺激されて困る。
デレ始めると胸がキューンとするくらい可愛くなるので、
それはそれでS心が刺激されて困る(おひ

世界樹的に言うなら、クラスはアルケミスト。
シンとの違いは、純粋に攻撃専門の魔法系であること。
物理のトモエと魔法のアリスの二枚看板は無敵である。


現代世界から地獄に落とされた人物たちなのに、
何故か剣の扱いに習熟してたり、魔法が使えたりすることの説明がないのは不満かも。
「細けぇこたぁいいんだよ!」ということか、
自分で妄想してくれということなのかもしれない。

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