タッチパネルとボタン入力の温度差

2011年03月23日 19:40

レビューで散々な書かれようで、
値崩れも酷いことになってる「ブラッドオブバハムート(以下、BoB)」。
先日、新品が500円で売ってたので勢いで購入し放置していたものを、
なんとなく遊んでみたのだけど…。

うん、言われてるほど酷いゲームではないかな。
ただ、酷評部分の多くは「ソロプレイでは厳しすぎる」というもので、
まだ序盤の私は不満を持つ場所まで到達できていないだけという可能性も高い。
要はバランス調整が甘いということなんだろうけどね。
ソロとマルチで敵の強さが同じというのは、
モンハンでいえば、村クエがなくて常時集会所をやらされてるようなものだろうし。
それは確かにキツイ。

で、このゲームの特徴としては、アクションゲームだというのに、
操作はすべてタッチペンだけで行えるようにしてあるということ。
というより、タッチペンがないと攻撃すらできなかったりする。

移動に関しては十字キーでもできるけど、タッチペンでも移動はできるし、
L(R)ボタンで回避行動も取れるが、それもタッチペンで可能。
攻撃だけはボタンに対応してなくて、攻撃したい場所(標的)をタッチすると、
キャラが勝手に攻撃してくれる、という仕組み。
距離によって自動で近距離・遠距離の攻撃を切り替えてくれるので、
遠い敵に延々と剣を空振る、みたいな間抜けなことにはならない。

私は何でコレをDSで出したのか不思議で仕方なかったのだけど、
実際にプレイしてみればナルホド納得。
タッチペンオンリーでの操作はなかなか快適で、よくできているし、
ピンポイントで巨獣の部位を狙うにもタッチペンは有効に機能している。
ちゃんと「DSならでは」なゲームになってるのは好印象。

まぁ、それがゲームの楽しさに繋がるかというと、そんなことはないんだけどね。

タッチパネルというのは、
文字通り画面を触って操作するインターフェースなんだけど、
これが有効なのは、「何かを移動させる」ことに尽きる。
それは画面中のユニットであるとか、カーソルなどでもいい。
「何か」を直感的に操作するのに特化したインターフェース、それがタッチパネルだ。

例えばリアルタイムストラテジー(RTS)のように、あちこちに指示を出したり、
範囲を選択したりする場合、タッチパネルは非常に相性のいいインターフェースになる。
つまり、「何かを掴む」とか「何かを動かす」ということが、
直感的に、自分の指先の延長としてできるというのが大きい。
ぶっちゃけると、SLGと非常に相性のいい方式だと言える。

では、ACTとの相性はどうか?
とりあえずBoBを例にするならば、相性は悪くない。
ただ、爽快感が無い。

まず、キャラクターを動かすことについては、
これはRTSと同じ要領なので、問題はあまりない。
問題は攻撃に関する部分で、BoBの場合、攻撃したい部分をタッチすると、
そこに自動で攻撃してくれるシステムなのだが、
これがなんとも攻撃している感じがしないのである。

これがどういうことかというと、
「目標を指定すれば勝手に動く」というのは、「アクション」ではないのである。
どちらかといえばシミュレーション、あるいはRTSに分類される動きだ。

これはこのゲームを「アクションRPG」として認識していると出てくる不満で、
実際には「シューティングRPG」、あるいはRTSの亜種だと理解していないと、
その違和感と差異が不満へと置き換わっていくものと思われる。

また、タッチペンでツンツンと画面を突付く行為そのものが、
「敵を攻撃している」という感覚から程遠いのもある。
これは「ラブプラス」などで女の子を触るなどする時の方が、
よほど優れた使い方に思えるように、
タッチパネルは「強い表現」をするには適していないことを示している。
タッチペンでの接触はあくまでソフトなものであり、
画面を突き破らんばかりにペンを突き立てる人はあまりいないだろう。

これがボタン入力だと何故爽快感が増すのかというと、答えは簡単なことで、
「力強く押せる」からである。
実際にはそれほど力を込めることもないだろうが、
思わず押すボタンに力が入る経験をしたことのある人は多いように、
ボタンはデバイスの状態をあまり気にせずに扱える、優れたインターフェースなのだ。
そして力を入れられるということは、キャラの状態とシンクロし易いことでもある。

また、ボタン入力方式ということは、ボタンを押す=攻撃であり、
キャラの動きとプレイヤーの操作の一体感が強い。
たとえ攻撃が外れてしまったとしても、
その攻撃を行ったのがプレイヤー自身だと思わせることが重要なのだ。
十字キーでの移動も同様で、何かに導かれるようなタッチペンでの移動と比べ、
より自分でキャラを操作している感覚が強くなる。
このキャラとプレイヤーの一体感こそ、ボタン式操作の利点なのである(※)。

タッチパネルは確かに直感的に操作できる優れた装置なのだが、
どうしても「人形を操る糸」にしかなれないのが欠点だ。
アクションゲームで大切なのは一体感、つまり「人形になる」ことなのだと言える。
人形そのものが動くのであれば、「糸」で動かされたものとの差は歴然としている。
それが爽快感の差なのだろう。

私が常々言っていることであるが、物にはそれに見合った役割というものがある。
DSならタッチパネルや2画面、ポリゴン描写を多く使いたいならPSPと、
ハードにはハードに合った特性があるように、
インターフェースにも、合ったジャンルというものが存在する。
それはどちらが優れているという話ではなく、
与えられた役割に順応する能力の違いでしかない。
開発者に必要なのは、それを見極め、判断し、採用することなのである。

BoBは非常によく考えられ、そして上手く作られたゲームである。
しかし、それが幸せな結婚ではなかったのが、この作品の不幸であったのかもしれない。

ぶっちゃければ、無理にDSで出さないで、
PSPか据え置きでやるべきテーマだったよね、ということだ。
収穫といえば、タッチパネルが合うジャンルの見極めができたこと。
少なくともタッチパネルはアクションには向かない。そう思う。


以下、蛇足

※これは「手順の多さ」により生まれる現象である。
タッチパネル方式は一見快適にキャラを操作しているように思えるが、
実際は違うことを理解しなければならない。
タッチパネルでの操作手順を簡単に解説すると、

画面をタッチする→キャラがタッチした場所へ移動する→行動完了

という形になるが、これがボタン式だと、

ボタンを押す→キャラが動く

になり、キャラへの指示の過程がひとつ省かれていることに気付く。
ゲーム中での動きは同じものだとしても、実際にプレイしてみると、
その感覚の違いは歴然としていて、
どちらがよりキャラとの一体感を感じられるかは明確だ。

このワンクッションの差が、タッチパネルに「操り人形の糸」としての感覚を生み、
「自分がキャラになる」必要のあるアクションへの妨げになっている。

ただ、これは「キャラがプレイヤーにも見えているアクション」においてのもので、
いわゆるFPS方式のゲームになると話は変わるのだが、それはまた別の機会に。

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