初心者にはFEAR系をススメたい

2011年10月23日 07:20

昨日の記事を書きながら、
どうしてベテランGMがプレイして、あんな惨状になるのか、ちょっと考えてみた。

まずSW2.0は、比較的、黎明期のTRPGに準拠したものであること。
システム関連は今風にリデザインされているので分かりやすいが、
シナリオ作成、及び実際のプレイでの回し方は、旧来から何も変化していない。

TRPGは自由さがウリなので、
本来であればアイテムデータや行為判定のルール、そして遊ぶ舞台さえあれば、
あとは好きにやってくださいよ、というのがあるべき姿だと思う。
実際に、SW2.0にはそういう雰囲気がある。

しかしそれでは敷居が高すぎて、
まともにセッション(TRPGを遊ぶこと)にならないことも多く、
GM負担が高すぎてGM離れを引き起こしかねない。

コンピューターゲームでRPGを遊んだことのある人なら分かるかもしれないが、
JRPGに慣れた日本人は「自由」に対応するのが苦手になっている。
いきなりオープンフィールドに放り出されて「何をしてもいいよ!」と言われると、
逆に何もできなくなってしまうプレイヤーもいるのである。

つまり、日本人の感覚で言うならば、ある程度の指針が見える方が望ましい。
自由にやらせた結果、シナリオの重要なフラグを見落とし、気付かない所で陰謀が進み、
いきなり「君たちはバッドエンドルートに入った」と言われても困惑するだろう。
それが『聖戦士物語』での進行上の問題点にもなっている。

TRPGはプレイヤーが(しいては彼らの操るPCが)主人公だ。
ならば、主人公に存分に活躍して欲しいと思うのは当然だろうし、
GMもそうなるようにシナリオを組んでいるはずだ。

しかし、そこでプレイヤーの自由にやらせてしまうと、
シナリオが破綻する可能性が高くなる。
もちろん、必ずしもGMのシナリオ通りに進めないといけないわけではないが、
本来予定された筋道から外れるほどに、GM負担は倍増し、
同時にPCのために用意された見せ場が失われる可能性が上がるのである。
結果としてGMは余計な疲労を負い、プレイヤーは大して活躍できずに、
消化不良のままセッションを終えてしまうこともありうる。

そういった状況を打破するために、TRPG本来の「自由さ」を若干制限する代わりに、
GM負担の軽減と、プレイヤーによりヒロイックな活躍を確実に体験してもらうべく、
シナリオの回し方からシステマライズされたのが、現在のFEAR系TRPGなのである。
例えるなら、SW2.0が洋ゲーとするなら、FEAR系ゲームはJRPGなのだ。

代表的なものとしては、「ハンドアウト」の存在だろう。
これはPC作成の指針であったり、
シナリオでのPCの役割を事前にプレイヤーに知らせるものであるが、
それはつまり、最初からプレイヤーの自由度を制限するものでもある。

だがこれにより、
セッションが開始して何をすればいいのか分からないという状況を減らし、
同時に、PCが全然活躍できないような設定になるのを防ぐことができる。
よりシナリオに集中して取り組む状態を事前に整えることができるのだ。

また、シナリオも
「オープニング」「ミドル」「クライマックス」「エンディング」と分割することで、
現在のシナリオの進行度をプレイヤーに理解させることもできる。
更に細かく、各場面を「シーン」という単位で区切ることで、
場面転換をスムーズに行えるようにも配慮されている。

特徴的なのは、GMがメインで演出する「マスターシーン」で、
敵の裏側や状況をプレイヤーに伝えることで危機感を煽りながら、
同時に事件に対処するヒントを与える効果が期待できる。
映画的な演出になるので、物語の盛り上げにも有効だ。
『聖戦士物語』で言えば、
GMが明かせなかった敵側の事情を大っぴらに説明できるシステムであったと言える。
これが採用されていたなら、
GMの望んだ方向への誘導は極度に楽になっていただろう。

ただ、誤解しないで欲しいのは、FEAR系ゲームは、
ガチガチの一本道なシナリオではない、という点である。
GMの錬度にもよるが、プレイヤーの提案があれば、それを積極的に採用するのは、
TRPGの基本として残された根源のルールとして存在している。
これらはあくまでTRPGをより遊びやすく、
楽しみやすくするために用意された工夫のひとつにすぎないのだ。

それでも、指針があるのと無いとでは、
実際のゲーム進行のスムーズさにかなりの差が出る。
TRPGは時間のかかる遊びなので、時間短縮にも繋がるだろう。

そういったシナリオ作り、
および実際のプレイにまで言及してルーリングされているFEAR系ゲームは、
初心者の入口として最適であると思っている。
ドラマチックな活躍が簡単に体験できるという意味でもオススメだ。

ある程度慣れたら、
今度はSW2.0およびグループSNE系のゲームに手を出してみるといい。
ルーリングされていなくても、FEAR系ゲームでの技術は応用できるものだし、
なによりゲームとしてのバリエーションの広さは、こちらの方が大きい。
FEAR系ゲームの最大の問題点は、ルールが最適化されすぎて、
どれも似たようなシステムばかりになってしまっていることだと思うので。

どちらが優れているという話ではない。
どんな物にも一長一短が存在し、
であるならば、より敷居の低いものから挑戦するのが無難だという話だ。

そしてアナログゲームの面白いところは、
別にルールブックにそのまま従う必要はない、ということでもある。
例えば私は、FEAR系のハンドアウト及びシーン制を利用してSW2.0を遊んでいる。
これは両者の良い所を取り入れることで、より遊びやすくなると思うからであり、
同時にアナログゲームの柔軟さを示すものでもある。

まずは色々なルールを体験してみるのがいいと思う。
その中から自分や仲間達に合ったものを探すのがベストだろう。
しかし最初に遊ぶものに迷っているならば、FEAR系のゲームがオススメだ。
その理由は上で述べた通りである。

ただ、FEAR系ゲームも色々あるので、
個人的なオススメとしては「アリアンロッド」を推したいところ。
ルールもプレイも簡単で癖がないので、すんなり入ることができるだろう。
オーソドックスなファンタジー世界であるのも分かりやすくていいと思う。
今なら新しいバージョンが刊行されたばかりだから、入口としても最適である。

うん、なんだか宣伝みたいになってしまったけれど、
TRPG人口が少しでも増えて、このジャンルが盛り上がって欲しいなぁと思うので、
そこは許していただきたい。

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