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感情が芽生える理由

2012年01月14日 17:52

人間の精神、意思、あるいは魂、クオリアなど、呼び方は色々あるけれど、
そういった内在する不確定な存在は、どこから生じているのか度々不思議に思う。

たとえば、私はグロ描写が苦手だ。
血が飛び散るだけでうわぁとなるし、
手足が千切れ飛んだりしたら夜に夢に見て眠れなくなる。
それくらい苦手なのだが、何故苦手なのかが分からない。
これらを苦手だと思う感情の動きが何故生じたのかが疑問である。

そういったことを、なんとなく考えていると、ふと思いついたことがある。

まず、先の例を考えてみると、私はグロ描写に「恐怖」していると分かる。
では、何故それが「怖い」と思うに至ったのだろうか。

何も知らない子供の段階では、何を見てもそれらはただの「情報」でしかない。
どれだけ残酷な映像であっても、それが「残酷だ」と知らなければ、
そう感じることもないわけだ。
同様に、グロ描写もまた「怖い」と感じることもないのである。

では、何をもって人間は感情(心の動き)を獲得するに至るのだろうか。
思うにそれは、自らの経験による自己学習の結果なのだと思う。

たとえば、自分が転んでケガをしたとする。
当然、ケガした箇所は痛い。血も出ているだろう。
すると、「ケガ=痛い」「血=痛い」という刷り込みが、
本人の無意識の内に発生するのである。
それは自己防衛のための本能とも言える。

結果、それが自分でなくとも、誰かがケガをすれば痛いのだと理解し、
血が出ればマズイことだと判断できるようになる。
それは自分だけに留まらず、当然、自分以外の人間も同様なのだと知ることになる。
これは誰かに教わるまでもなく、自らの経験により自然と身に付くものだ。
つまり感情とは経験の賜物であり、想像力の延長にあるものなのである。
いわゆる「外部刺激」こそ、感情を生み、育む方法に他ならない。

昨今では、少しの体罰がすぐに「暴力」と呼ばれ、
子供たちは実に大切に守られている。
もちろん、それはそれで大切なことであるが、
前述の通り、感情とは経験から生まれるものである。
それは大事にされるほど生じる機会を減らしていくことになり、
結果として感情が希薄な、他者の痛みに鈍感な人間になりかねない。
他者の痛みを知るためには、まず自分が痛みを知る必要がある、ということだろう。
その「痛み」から何を学ぶのかは個々人の問題となるが、
少なくとも感情を生むためには、そういった「刺激」も必要なのである。

さて、感情が生まれる理由は経験と自己投影の産物であることが分かったとして、
私がグロ描写が苦手な理由はサッパリ分からないままなのである。
というか、上記が正しいのであれば、正しく感情を育んできた人間は、
すべからくグロ描写が苦手なはずなのだが、
もちろんそれではゾンビ映画など生まれるはずもない。

個人差ということで片付けてもいいが、あえて理由を挙げるなら、
想像力の強弱の付け方が上手いか下手かの違いなのではなかろうか。
つまり、グロ描写が好きだからといって、その人間が冷酷であるとは限らないわけで、
では何故平気なのかと言われたら、
想像力を鈍化させる術を自然と身に付けているということではないだろうか。

人間は感情を得るための方策のひとつとして、他者への刺激を自分に投影する。
それは想像の働き以外の何者でもなく、その想像が強すぎると、
他者への刺激が自分にフィードバックしてくるようになる。
つまり、他人がケガをしたのを見た時、
自分も顔をしかめてしまうのは、そういうことだ。

グロ耐性が強い人間というのは、
そういう他者への刺激を自分にフィードバックさせない方法を会得している、
つまり、想像力を鈍化させ、ただの「情報」へと変換できる人なのではないか。

それもまた自己防衛の機能として、人間なら誰もが備えているものだ。
他人の痛みをいちいち自分に投影していたら気が狂ってしまう。
ただ、その防衛機能には個人差があって、
上手く切り替えられる人とそうでない人がいるのだろう。
そして、切り替えが上手くいかない人はグロ描写に耐性が低くなるのである。

とまぁ、もっともらしいことを述べてはみたが、
何でグロ描写の得手不得手の話になったのかは謎だ。
今更最初の文章から読み直すのも面倒だし(おひ

まぁ、たまにはこういう実があるのか無いのかわからない、
哲学的な話をするのも楽しいのである。
それで楽しいのは私だけだということを理解しながらもやってしまう辺り、
私もそれなりに神経は図太いのかもしれない。

でもグロ描写は苦手です。

うん、すでに私の理論は私自身の手で破綻してる気がしないでもないが、
この際そんなことを気にしてはいけないのである。
それもまた自己防衛なのだ。うむ。

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