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AGE最終回記念最終評論「何故AGEはダメだったのか?」

2012年09月24日 16:37

ガンダムAGE全49話を、しっかり最後まで追いかけた皆様、
超☆お疲れ様でしたー!

いやー、いい最終回だったね!
や、皮肉でもなんでもなく、最終回にふさわしい熱い展開でした。
ただまぁ、今までの積み重ねがまるで活きてないせいで、
せっかくの感動的な流れにイマイチ乗り切れなかった辺りが、
AGEという作品が根本からダメだった証明でもあったと思います。

何がいけなかったかというと、キャラクターの使い捨てっぷりが酷い。
「印象的にするにはキャラを殺せばいい」という安直な思想のもと、
何も考えずにシチュエーションだけを与えられて死んでいったキャラが多すぎます。

最も象徴的なのは、唐突に戦場に駆り出された物語のキーパーソンであるユリン。
自己犠牲って感動するだろ!?的押し付けを感じた爺さん2人。
凄くおいしい役回りを与えられたのに実は捨て駒だったアラベル。
個人的にAGE最悪エピソードとなったスパイの人シャナルア。
何のために出てきたのかマジでイミフなジラード・スプリガンさん。
何の意志もなく流れで戦場に出たせいで無駄に死んだディーン。
せめてアセムでも道連れにできればその命に意味が生まれたのに残念すぎるフラム。
ラスト直前まで引っ張ってほぼ自滅したゼハート。

物語の重要人物から、本当に心底どうでもいいキャラまで、
「死」という、物語において最も人の心に震えをもたらす要素を、
非常に軽々しく扱ってきた作品だったなぁと思います。

「何故そのキャラは死んだのか?」
「その死によってどういった状況の変化がもたらされるのか?」

モブではない、ネームドキャラクターを殺すという行為は、
「物語」である以上、なんらかの意味を伴うものでなければならないはずです。
そして意味をもたせるために必要なのは、
キャラクターを視聴者に理解させ、共感させる下準備とその演出です。

当然、AGEもそれを理解し実行するために様々なキャラを殺してきたはずですが、
残念ながら、AGEはキャラクターの深め方と扱い方がとても稚拙で、
有効に機能したとは言い難い状況でした。
結果としてキャラクターの死が非常に軽いものとなり、
制作側が想定していた以上に視聴者にメッセージが届き難い状態になっていました。
「このキャラ死ぬんだろうな」くらいにしか感じられなかったし、
「あー、やっぱり死んだか」程度で終わってしまったんですね。

そこから先、例えばユリンが殺されたことでフリットが激怒した時に、
視聴者もデシルに怒りを感じるといった、
「キャラクターへの共感、あるいは一体感」が生まれないと、
物語への没入感はむしろ薄れてしまうわけです。
脚本家の独りよがりを感じて醒めてしまうと、もうダメです。

ユリンの例を見てみると、不思議な能力を持っているという伏線を持ちながら、
そこからヴェイガンに繋がる道が唐突すぎて、対フリット戦に疑問ばかりが先立ち、
物語への没入感、およびキャラクターへの共感を妨げています。
要するに、何事も唐突なんですよね。伏線の張り方が下手とも言います。

4クールもの長期作品、更に3世代という長い時代を描いた物語なのだから、
それを活かした伏線の張り方は色々あったはずですが、
全てをフリットに集約してしまったせいで、
幅の狭い展開にしかならなかったように思います。
もっと広げて、広げて、その先の果てにフリットもいた、ならともかく、
最初から「最後にフリットありき」だったのが原因なのでしょうね。
だから他のキャラの密度がことごとく薄れたのでしょう。

キャラクターだけでなく、「ガンダム」としてもダメでした。
何がダメかって、ガンダムである必然が何もないことですよね。
重要なのはAGEシステムであり、その端末でしかないガンダムはまさに飾り。
それ自体にオーバーテクノロジーを感じることがまるでなく、
何故作中キャラが口々に「ガンダムガンダム」言うのかが、
むしろ不思議で仕方なかった。

何度も言った気がしますが、改めて言わせてもらえば、
何でAGEシステムを内蔵させなかったのか?これに尽きます。
作中で出てきたシドのような存在にしておけば、
インパクトも存在意義も数倍増しになったことでしょうに。
まぁ、後の祭りですけども。

AGEシステムの弊害は他にもあって、
そもそもAGEとは、
「ピンチになったガンダムがAGEシステムによって窮地を脱する」
という物語構造であるため、
必然的にガンダムはピンチになる必要に迫られるわけです。
しかしそれは同時にガンダムの格を下げる行為でもあり、
それはイコール「ガンダムの存在意義の低下」を招いたのでしょう。
だからこそAGEシステムは内蔵すべきで、
ガンダムは自己進化するデビルガンダムのような存在であるべきでした。
で、最終的に暴走したAGEシステム=ガンダムに対抗するために、
連邦とヴェイガンが手を取り合って、究極のガンダムを生み出す……
なんて熱い展開になってたら……まぁ、これは私の妄想ですが。

結局のところ、3世代も続けながら、
連邦VSヴェイガンという図式がまるで変化することなく続き、
第三勢力的なサプライズすら用意されることなく、平坦な道を走ってしまった、
そういう印象が強いんですよね。
だから何も心に残らない。

せめてゼラとヴェイガンギアはもっと早く登場させて、
アスノ家との因縁を強めるべきでしたね。
いっそゼラを女の子にして、
キオと良い仲にしてみたらオタ人気も出たかもしれませんね。
そうすれば、フリットとユリン的な対比が作れたかもしれないのに…。
それとも最後の場面は腐人気に配慮したのかしらん?

総じて、何もかもが力不足だった
これに尽きると思います。
子供人気もガノタ人気も両方を得ようとして両方にいい顔をしてたら、
どちらからもそっぽを向かれた、という感じでしたね。
まぁ、同時期にユニコーンが並走してたため、
似たような路線にはできなかったのかもしれませんが…合掌。

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