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PSV「ケイオスリングスIII プリクエル・トリロジー」総評

2014年11月02日 18:43

間違いなく、今年最高のRPGの一角。
オーソドックスなコマンド式ターン制バトルを採用し、やや古臭い印象もあるものの、
ゲームシステム、ストーリー、プレイの快適さ等が高水準でまとまった、隙の無い作品。
Ⅲ単体でも脅威のボリュームとやり込み要素を併せ持ち、
PSV版は過去シリーズ3作品が全収録されている高コストパフォーマンスの塊。
SFC時代のスクウェアRPGが好きだった人にこそオススメしたい、個人的GOTY候補です。

【クリア時間:61時間  個人評価:9  一般評価:9】

※Ⅲ単体での評価です。
※※膨大なサブクエストを延々プレイしたり、合成で試行錯誤したりと色々寄り道してたので、
あと10時間はクリア時間を短縮できたと思います。

元々スマホで展開されてきたRPGシリーズであるためか、
とにかく遊びやすく配慮されたゲームです。
極力煩わしさを排除する方向で突き詰められているので、
個人的にRPGに欲しいと思っていた要素が、ほぼ全て搭載されていて驚き。
詳細については別記事でどうぞ。

システム面で面白いのは、2種類に分割された育成でしょうか。
メインとなるのは「ジーン」と呼ばれるカードのレベル上げです。
キャラクターは1人につき1枚のジーンを装備することができ、
ジーンの能力値とスキルを引き継ぐことができます。
ジーンにはレアリティがあり、レアなジーンほど強力でレベル上限も高いのは、
昨今のスマホ系カードゲームっぽい要素ですね。
また、ジーンは「女神転生」のように合成で新しいジーンを作ることができる上、
合成素材のジーンのスキルを2つまで引き継がせることができるため、
かなり自由度の高い育成が楽しめます。

もうひとつは、キャラクターそのもののレベル。
これはキャラ個別ではなく、パーティ単位で管理され、新しいジーンを入手すると、
入手した数に応じてパーティレベルが上がっていきます。
要するに、5種類のジーンを入手すれば、レベルが5上がる、ということです。
これにより、キャラクターがパーティを離脱しても経験値の格差がなくなり、
気軽に育成に専念できるのは素晴らしいシステムだと思います。
ついでに、ジーン収集の意欲が高まる効果もあります。イラストも美しいので尚更です。

システム面での特徴としては、本編と連動しながらも完全に独立している、
「バトルモード」の存在も大きいですね。
名前の通り純粋にバトルを楽しむためのモードで、
ここで稼いだ経験値やお金、アイテムは全て本編でも使えます。
また、定期的にイベントが開催されており、目標をもってバトルができる工夫もしてあります。
驚いたことに、「実況」がついていて、戦闘状況次第で色々とアスミスが絶叫してくれますw
多数のゲスト解説者まで存在する等、無駄な作り込みに感動です。

ストーリーも非常に魅力的。
王道な少年少女の冒険ものから、
世界の危機に繋がる重大な事件に巻き込まれていくわけですが、
キャラクターの成長がしっかりと描かれており、掘り下げが丁寧です。
キャラクターはメインもサブも気持ちのいい奴らばかりで好感度も高く、
また、血肉の通う描写のおかげか、とにかく心に響くセリフが多い!
何気ないサブキャラですら、思わずハッとするようなことを言うので、
ストーリーをガツガツと進めるだけではなく、じっくりと会話を楽しんで欲しいところ。

ロード時間のストレスもほぼ皆無、音楽も素晴らしいです。
特に豊富なムービーシーンは、演出がハイレベルで、音楽の入り方が上手いんですよね。
フルボイスではありませんが、主要なイベントには大抵ボイスが入ってるので、
気になるほどではないでしょう。

総じて、システム面での丁寧さ、適度に笑いが入る良質で重厚なストーリー、
気軽に楽しめるプレイビリティの高さ等、脅威の完成度となっています。
正直、「スマホゲーだしなぁ」と侮っていた部分がありましたが、認識を一変させられましたね。
下手なJRPGでは足元にも及ばない出来栄えですよ。

満足度はかなり高い本作ですが、それでも足りない不満点もありましたので、
ちょっと羅列していきます。

・移動速度が遅い。
そこまで気になるものではないんですが、同じフィールドを繰り返し移動するので、
ダッシュ機能が欲しいなと思いました。

・一括売却ができない。
本作は敵を倒す収入よりも、ドロップ品を売る収入が大きいんですが、
売却のシステムが煩雑で面倒なのが欠点。選択式にして一括売却できれば…。

・オートセーブの良し悪しと、セーブスロット数の少なさ。
オートセーブはありがたいものの、逆に言うと自由にセーブデータを残せない仕様です。
また、セーブできる箇所も3箇所と少ないのは不満でした。

・クライマックスアーツの演出が飛ばせない。

戦闘中に発生する必殺技で、見栄えも威力も素敵なんですが、
何度も見てるとさすがに飽きてきます。全体的にテンポがいいだけに惜しい。

・イベントをスキップできない。
早送り機能はありますが、あまり上手く機能してるとは言い難いです。
通常は気にする必要もないのですが、同じイベントをやり直した時に気になりました。

・主人公がほとんど喋らない。
いわゆる「ドラクエ的主人公」なわけですが、
昨今のトレンドから外れかけている気がしますね。
もっと前面に出てきてもよかったかなと思います。

・装備してるジーンを合成で選べない。
ロック機能があるのだから、そんな事故防止策は不要だったのでは?
育成後、一度装備から外して合成するのは割と面倒です。

・ジーン合成でのスキルのランダム引き継ぎの面倒さ。
ジーン合成では素材となるジーンから2個までスキルが引き継げますが、ランダムです。
合成結果が事前に分かり、なおかつやり直しができる仕様の場合、
プレイヤーは理想の結果になるまでリトライするのだから、
最初から引き継ぎスキルは自由に選べてもよかったんじゃないかと思います。
また、合成後のジーンがレベルアップで覚えるスキルは引き継げないので、
何時までたっても理想のスキルを覚えてくれない苛立ちもありましたので、尚更です。

・フィールドギミックは必要だったのか?
爆弾でスイッチを入れたり、隠し通路を探したりとギミックの多いゲームですが、
単純に遠回りさせられてるだけで、謎解き的な意味合いのある物はほぼありません。
ワイルドアームズのようなパズル的要素があるわけでもないため、
単に手間がかかるだけの代物になっているのが惜しい。
前述の移動速度の遅さと相まって、マイナスの印象が強いです。

・申し訳程度の着せ替え要素。
これがメインではないので、明確な不満ではないんですが、
折角の着せ替え要素も、特定装備にしか対応してないので、
本当に「申し訳程度に実装しました」という程度なのがちょっと悲しい。

・細かなバグ。
イベントで離脱してるはずのキャラクターが会話の中で突然登場したり、
イベントのスイッチが切れてないのか、過去イベントの会話が発生することがありました。
また、入力が早過ぎると、戦闘中の効果音や音声に遅延が出ることが稀にあります。
ゲーム進行には特に影響がなく、致命的なものではありませんが、
明確にバグなので、修正して欲しい部分ですね。
(例:だいすけ離脱時に、ヤエちゃんと会話するとだいすけが会話に割り込んでくる、
ゲームクリア直後、パティに話かけると、最終戦直前の会話が発生する等)

・ラストバトルのバランス調整。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、ちょっとどうかなと思います。
感動演出を入れておきながらダレる戦闘をさせる意味はなかったのでは?


…結構ありましたね(苦笑
まぁ、それだけ他の部分が親切丁寧に作られてるだけに、
ちょっと気になる所が浮き彫りになるのかもしれませんが、
ここから更に快適なゲームにできるということでもあるので、
次回作では更なる進化を期待したいところです。

とりあえず、買って損なし!

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