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PSV『デジモンストーリー サイバースルゥース』総評

2015年03月29日 00:34

エンディングのイベントの最中、気が付けばはらはらと泣いていました。
特に強いメッセージ性があるわけでもなく、印象深い言葉があったわけでもない、
ただ最後に「ありがとう」というセリフを聞いただけで涙が出てきた。
そんな、ヒトとデジモンの絆の物語。

【クリア時間:81時間(※)  個人評価:9  一般評価:9】
※依頼はDLC含めてすべて解決済。
※※育成だけで30時間以上費やしたので、ストレートに遊べば40~50時間ほどかと。

いやー、面白かったです!
私はデジモンに関する知識はほぼ皆無なまま遊んでいたんですが、
全然問題なく楽しめました。
むしろ、次に出てくるデジモンはどんなものかとワクワクする方が大きかったですね。

自分の精神データをアバター化し、電脳世界で交流ができる未来的サービス「EDEN」での、
ログインしたまま意識が戻らなくなる謎の奇病「EDEN症候群」と、
それにまつわる企業と探偵、そしてハッカーとデジモンたちの、成長と絆の物語です。

個人的に気に入ってるのは、主人公への愛着が強かったことですね。
私、男女を選べる主人公の場合、男にして後悔することはあっても、
女の子を選んで後悔したことはないので、大抵は女の子でプレイするんですけど、
今回は本当に正解だったと思います。
仕草がいちいち可愛くて、ドラクエ系の喋らない主人公にここまで愛着を抱いたのは初めてです。
気が付けばスクショが400枚近くに…あわわ。

というのも、まったく意思表示が無いわけではなくて、とても感情豊かに表情もコロコロ変わり、
選択肢も味気ない「はい/いいえ」ではなく、
遊び心に溢れた、主人公の人柄を想像させる面白いものが多く、
そういった細々とした部分が感情移入の手助けになったのかと思います。
特に、『孤独のグルメ』っぽいサブイベントが本当に面白かったw

ストーリーも捻くれた展開はなく、むしろ王道な作りだったと思いますが、
だからこそ、素直に展開を追っていけた部分もあるかと思います。
きちんと伏線が張られているのも好感触でしたね。
特にターニングポイントになる11章辺りは、個人的事情で一度プレイをやり直したら、
あ、こんな所に伏線があったのかと、新しい発見があって、驚いたものです。

メインとなるのはやはりデジモンの育成ですね。
特に楽しかったのは、次々に進化先が出てきて、
次は何になるのかとワクワクさせる、成長の楽しさの持続性。
本当に、次から次へと進化できるのが楽しくて、気が付けばひたすら育成してました。

装備やデジモンを工夫することで、入手経験値を激増させることが可能なため、
経験値稼ぎが非情に楽だったのも要因かと。
終盤では、レベルMAXまで成長させるのに10分程度で済むようになり、育成が捗ります。
もちろん、下準備は必要ですがー。

単純なレベルアップと進化だけでなく、ボーナスで更なる強化ができる「特訓」もポイント。
デジモンは個体による能力差はないので、厳選などの面倒な作業をしなくて済むのですが、
その分、特訓による強化で個性が出せます。
攻撃力重視、素早さ重視、長所を伸ばすか短所を無くすか、自分好みに育てられます。
また、装備品での補正もできるし、覚えたスキルは20個まで継承できるので、
育成の幅はかなり広いですね。

戦闘は分かりやすいジャンケン方式。
3種類の種族それぞれに有利不利があり、ダメージが増減します。
また種族以外にも、属性による補正もあります。
攻撃の有利不利は、攻撃時のアイコンの色ですぐに判別できるので、
特に相性を覚えたりしなくてもいいのが便利ですね。

それ以外では、単純なターン制ではなく、素早さ順の個別コマンド方式なので、
素早さが高いデジモンほど行動回数が増える傾向にあります。
個人的には戦略性が高くて好きなシステムなんですが、素早さが高いほど明らかに有利なので、
育成でも素早さ偏重になりがちなのが不満でしたね。
もう少し素早さによる行動補正を下げてもいいかなと思います。

あと、貫通攻撃が強すぎ!
防御力を無視する貫通攻撃は、明らかにダメージが大きく、
そういうスキルを持ったデジモン以外は空気になりがちです。
倍率補正を減らすか、基礎ステータスを低めにするなど、バランス調整が必要かと思います。
まぁ、ストーリーを進めるだけなら強力な分助かるんですけど、
対戦しようと思うと、特定のデジモンに偏る可能性があるので、
あまり大味なのは問題がありそうなんですよね。

本作ではオンラインによる対戦が実装されていて、育成したデジモンの腕試しができます。
クリアするとやることが無くなってしまうので、長く遊びたい人には対戦要素はありがたいですね。
ストーリーでの戦闘とはまた勝手が違うので、育成に頭を悩ませるのが楽しいです。
あと、パーティ編成に必要なコストが制限されるので、
究極体以下のデジモンにも光が当たる可能性があるのはいいですね。

ただ、本当に対戦するだけの簡素なシステムなので、もう少しメリットがあってもよかったかなあ。
ランキングが見れるくらいしかできないのは寂しい。
まぁ、下手にメッセージが送れたりすると、某ガンダムゲーみたいな惨状もありえるので、
この思い切った仕様もアリといえばアリですけどね。心置きなく戦えます。

他の特徴としては、発売前から言われていたことですが、とにかく綺麗です。
キャラモデリングもデジモンデザインも、非情に細かく作られていて、
見ているだけで楽しいのは非情にポイントが高い。
ダンジョンの背景なども凝っていて、次々と映像が切り替わる内面世界は凄く印象深いです。
特にデジモンはモーションの流用などをしてない、ワンオフ制作らしく、
育成系としてはやや物足りない230種という数も納得してしまう出来栄えでした。
制作側のデジモンへの愛情を感じる、丁寧な仕事が感じられます。

総じて非情に高いレベルで面白さがまとまった良作ですが、不満点も幾つかあります。
まず、前述したように、戦闘における素早さの絶対性が高すぎること。
また、戦闘演出の短縮ができるのは嬉しいですが、ボス戦などの演出を見たい時もあるので、
できれば戦闘中に任意で短縮の切り替えができたらよかった。
欲を言えば、ボタンひとつでいつでも演出カットができるようにして欲しいですね。
更に言えば、演出カットではなく、早送り機能があれば嬉しかったかと思います。

デジモンを管理するデジラボの使い難さも不満でした。
パーティからデジバンク、またはその逆はできるのですが、
デジファームに一発で送れない、ファームからデジバンクへも送れないため、
ファーム間のデジモンの移動が非情に不便でした。
ファームでは特訓のために特定のデジモンだけを置きたい場合が多いので、
もう少しファームの使いやすさを考慮して欲しいかな、と。

他には、セーブデータ数の少なさですね。
面白い、印象的なイベントが多いのに、イベント回想の機能がないので、
各章ごとにデータを残したかったのですが、3つしかセーブできないため、
どこのデータを残すかで頭を悩ませていました。
PSVでは珍しい不満点だと思います。

エリア切り替えのロード時間がやや気になります。
およそ3~4秒ほどですが、エリア制でロード回数が多めなこともあって、
積み重なってくると気になってきます。
戦闘に入る時は問題ないので、移動時だけ、ちょっと。

画面が綺麗な分、自由にカメラを動かせないのも残念でした。
あの綺麗な背景をグリグリと見回せたら楽しいだろうなぁと思うだけに、勿体無いなぁと。

依頼を複数同時に受けられないのも面倒でした。
特にファームで発見するタイプの依頼は場所の重複も多く、
いちいち個別に受けるのは面倒この上ないです。
システム的に無理なんだろうなとは思いましたけど、もうちょっと使い勝手をよくして欲しいです。

目立った不満はそれくらいですかね。
移動速度は割と早めで、それほど気にならないレベルだったし、
エンカウントも任意で変更できます。即時エンカウントができるのは、
育成がメインのゲームではありがたい仕様でした。
また、パーティに編成してるデジモンを連れ歩くことができたり、
さすがに大型は視界の妨げになるので、非表示にもできる細やかさがありがたい。

システム的には新しいものではなく、むしろ使い古された感のあるものですが、
根幹の作りがしっかりしてるためか、問題なく楽しめます。
本当に面白かったので、より洗練し、デジモンの数も増やした続編に期待。
これだけ作ったデジモンのモデルを使い捨てるのは勿体無いですからね。
是非とも次回作でも活用してくれればと思います。
その分、早めの続編の登場をお願いしたいです。

この素晴らしい仲間とデジモンたちとの再会を祈って。

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