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SW2.0リプレイ『新米女神の勇者たち』を再評価してみる

2015年07月29日 19:31

老害って呼ばれる人は、感情的に取り返しのつかないことを簡単に言う人のことだと実感。
あの年代の人間はすぐに「クビだ!」とか「辞めろ!」とか言うんだけど、
後先考えて発言して欲しいよなあと思う。
今はもう時代が違うんだから、それでみんな大人しく従うわけじゃないのよ。
それでいて人手不足になったら、他人のせいにするんだから始末に負えないわ。はあ。

そんな愚痴をこぼしつつ、今日はお休みだったので、ノンビリと読書に勤しんでおりました。
最近はリプレイの発刊数が明らかに減っているので、以前のリプレイを読み直してるわけですが。
で、今はSW2.0初期の名作『新米女神の勇者たち』シリーズを読んでました。
何気に今もシリーズが続いてるんですよねぇ。すげぇ。

まぁ、それも納得の面白さです。
個人的に、TRPG界隈でのGMとしては日本最高峰の一角だと思ってる秋田GM作品なので、
それだけで面白さは保証されてるわけですが、それでも1巻が出た時は、微妙だったんですよねぇ。

というのも、ルールブックと同時発売でありながら世界観やルールの説明が明らかに足りておらず、
未だラクシアという新世界に抵抗のあるフォーセリア住民が多い読者達の心をつかむには、
かなり力不足だったのですよ。
この辺、同発の『たのだん』でフォローできてると思ったのかもですが、
藤澤GMでは新世界のアピールには足りなかったというか、
私は藤澤GMって結構好きですけど、どちらかというとプレイヤーで光るタイプですよね、あの人。

なので、スタートダッシュに失敗した象徴のような印象があるんですが、
2巻3巻と巻を重ねるほどに面白さを増していきまして、気がつけば大ファンになっておりましたw

何が凄いって、やっぱり適応力ですよね。
それだけ下準備をしっかりやってるのだとしても、想定外の事態に対する対処力が半端ない。
あと、プレイヤーの行動を縛らず、よくここまでストーリーテリングできるなあと思います。

FEAR系リプレイでよく使われる「ハンドアウト」や「トレーラー」というのは、
無法地帯になりがちなTRPGに方向性を持たせて、
GMやプレイヤーの負担を軽減するいいシステムだと思うんですが、
同時に自由度を奪う仕組みでもあります。
「今回はこんなシナリオやりますよ」「だからこんなPC作ってね」という前提があるので、
迷いなくラストまでスムーズに辿り着ける反面、道を逸れるのは非常に難しい。
もちろん、まったくレール通りということはありませんが、
SNE系リプレイと読み比べてみれば、違いは歴然でしょう。
あ、どちらが優れてるという話ではないですよ?

で、私はソードワールドからリプレイに入った人間なので、
やはりプレイヤーが自由にやってる感のあるSWシリーズがしっくり来ます。
しかし同時に、そのプレイの難しさも知ってるので、凄いなあと思うんですよね。
だって、私はそれができないから、
本来SWにはないハンドアウトシステムを使ってGMやってるんですから。
この辺の柔軟さは、TRPGならではの良い部分だと思ってますので。

さて、話を戻して、改めて『新米女神』シリーズが何故面白いのか考えると、
それはこれまでの他のリプレイを振り返るとよく分かります。
それは、SW2.0の構造的欠陥が機能してないからですね。

どういうことかというと、SW2.0は、旧SWから大きく変わった部分として、
ターン制バトルを採用しています。
最初にイニシアティブを取ったグループが先行として動き、
味方側の全員が行動終了したら、次は敵側の行動に移る、というアレです。

このシステムの利点は、戦闘を簡略化できること。
それでいて、味方の行動順番を自由に入れ替えられるため、戦略の幅も広がります。
欠点としては、先行が有利すぎて、高レベルになると範囲攻撃で殲滅する作業になりがちな点。
この辺は、昨今のリプレイシリーズを読めば実感できます。
とにかく先制範囲攻撃で敵戦力がズタボロにされてGMが泣いてる場面が多い。
最近ではいやらしい特殊能力を持つ敵が増えて、対抗策も出てきてますが、
それはそれで折角のPCの成長の意味が薄れるんですよねぇ。難しい。

で、『新米女神』ですが、初期リプレイだけあって、まだ戦術が確立されてないこともあり、
色々な「無駄」があるんですよね。エアのシューター技能とか全然使ってないし。
でも、そういう「無駄」があるからこそ、色々な行動もとれるわけで、
一番古いリプレイシリーズでありながら、今読んでも…逆に、今読む方が新鮮だったりしますw
先制範囲魔法が飛ばないだけでも新鮮。

だからこそ、戦闘が非常にリスキーになっています。
割と純粋に前衛の力押しに頼る場面が多いため、ギリギリな戦闘が多いんですよね。
特に本編シリーズのラストバトルなんかは、本当にドラマティックでした。
よくこんなギリギリのバランスでシナリオ作れるよなあと、しみじみ感心します。
…ギリギリすぎて何人か死んでるのはラストバトルだから、ね。

この戦闘に関する部分は、本当にこのシリーズならではの部分なのです。
他にも陰謀や伏線が随所に散らばってるシナリオ構築がすごいとか、
プレイヤーの行動に対する状況変化をきっちり管理する能力であるとかありますが、
それは秋田GMの実力であって、ゲームシステムとは関係ない部分なんですよ。
なので、やはり何が面白いかというと、このチグハグなキャラクターたちによる、
効率の悪い戦闘が見どころなんじゃないかと思うわけです。
もちろん、プレイヤーたちがその中で最善を尽くそうとするからこそ、ですが。

TRPGもゲームなので、やはりどうしても効率の良い方向に流れがちです。
シリーズが続くほどに、戦術も固定化されてしまい、マンネリが積もり始めます。
もちろん、商業リプレイなので、そういうマンネリ打破のため、
違うアプローチでキャラクターが作られたりはするんですが(追加データの紹介とかもあるし)、
だからといって、明らかに手を抜いてしまうと読者にバレて興醒めになります。
さじ加減も難しいですよね。

だからこそ、今一度原点に戻ってみるのも面白いものだと思います。
せっかく買ったものですし、読み捨てるには惜しい面白さですから、
その魅力を再発見するのも楽しいものですよ。
なので、レッツ昔のリプレイ再読!

時間があれば『アリアンロッド・サガ』を全部追いたいのだけど、
さすがに50冊近いシリーズ全部は時間がー。
とりあえず、次は『新米女神』の第2シーズンでも読もうかしらね。
既存リプレイがほぼ揃ってる我が家のリプレイ書庫っぷりにウットリしますわw

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