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コロナ禍の今こそ読んでおくべき作品『疫神のカルテ』で号泣した

2021年09月05日 13:06

最近はYouTubeの配信やアーカイブを見るばかりで、ゲームも漫画もアニメを見る時間もめっきり減ってしまいました。まぁ今季に限ればアニメはいまいち不作なのもありますが。何かオススメがあれば教えてほしいです。

そんな中で、久しぶりに漫画の新規発掘をしたら、これが大当たりでした。漫画でこんなに泣いたの久しぶりってくらい泣いたので、せっかくだから俺はこの漫画を紹介するぜ!

『疫神のカルテ』は、致死率100%の謎の奇病「疫神症候群」が蔓延する世界で、もう殺すしかない患者を救うべく奮闘する医者たちの物語です。
ぶっちゃけると異能力バトル漫画でして、この「疫神症候群」に罹患した人間は、制御ほぼ不能の特殊能力を発現してしまい、周囲の人間を巻き込んだ上で死亡してしまうという割と末期な病がありまして、いつかこの病を治す治療法を確立するために、死の危険に立ち向かう医者(疫神症候群に耐性を持つ特殊能力者)たちの奮闘が描かれています。
この医者たちも耐性があるとはいえ、そこは致死率100%の病なので、余命幾ばくもない中で、微かな希望を得るために足掻いてるわけで、とにかく敵(患者)も味方(医者)も命懸けなため、本気度が違うんですよね。「どうせ助かるんだろ」的な甘さが一切ない。なので、読み手の感情を非常に強く揺さぶってくる物語となっています。

で、バトル漫画的な形式を取ってはいますが、根本にあるのは医療行為なので、患者の視点も医者の考えも双方丁寧に描かれているのがまた素晴らしいんです。どちらの主張も納得できて、間違ってないという葛藤が悩ましくも考えさせる内容なので、読者は絶望的な病に対して何もできない無力感を感じ、それでも諦めない医者たちに希望と信頼を抱いてしまうのが凄い。

というのも、現在、リアルでコロナというどうしようもない病が蔓延してる中で、必死に医療行為に従事してるお医者様方がいるわけで、どうしてもリアルの状況と重ねてしまうというのもあります。
そのうえで、医者がどれだけ危険な中で病と闘っているのか、どういう想いで患者と向き合っているのかを考えさせてくれる内容だけに、そりゃあ心に響くんですよ。これ読んだら絶対に医者に暴言吐いたり誹謗中傷なんてしようと思わなくなると思う。バトル漫画というまさに「戦う」内容に置換されることで、より分かりやすい描写になっているのも上手くやってるなあと感じる部分ですね。

あと、どの「医者」たちも、基本的に人命を尊重してるのが素晴らしいです。
こういう作品は、無感情に敵を殺しまくるキャラが出てきちゃうものなんですが、やはり「医者」である以上、きちんと「命」と向き合って戦っているのが題材を大切に扱ってるのを感じさせてくれて良いですね。
特に単行本2巻の「安楽殺」の話は物凄く難しい題材だったのに、考えうる最良の終わり方をしたと感動しました。つーか、マジで誰も悪くない物語なんで、救いがあって欲しい中で望みうる最良を描いてくれたのが本当に嬉しかった。

絵が上手いのもいいですし、キャラ立ちもしっかりしてて内容も練られている、完璧に近い漫画なんですが、唯一気になるのは夜散さんの乳がデカすぎることですかねー。ここだけが漫画的誇張表現をやりすぎてて違和感を覚える部分でした。エロで売る作品じゃないんだから、こんなデザインにしなくても良かったのになー。

主人公の女の子は「全員救いたい」系の、ともすればウザくて嫌いになる人が多そうなキャラ付けなんですが、理想を語るばかりの妄想家ではなく、現実を直視した上で結果を残すタイプの理想家なので、割と好感が持てるのも良いですね。
ただ、3巻で医者側の新キャラが増えるのはいいんですが、どうも身内で争う話になりそうなのがちょっと心配ですね。
この物語の本質はそこにはないと思うので、しっかりと病と闘うスタイルを見せてほしいところです。

少なくとも2巻までは神作品だったので、続きも楽しみに待ちたいと思います。
これはマジで「今」読むべきタイムリーな作品でしたよ。買ってよかった。


以下、個人的な感傷を含む湿ったおはなし。

私は去年、肉親をがんで亡くしました。
がんの宣告自体はかなり前(2年以上前だったはず)の話で、ずっと抗がん治療を続けていましたが、副作用も少なく、病院に終末医療で入るまでは元気にしていたのが印象的でした。

ところが、ある日を境に病状が悪化し、一気に弱っていってしまいました。
話を聞くに、どうも医者から余命宣告をされたようで、ぶっちゃけ「もうすぐ死にます」的な冷たい言い方をされたそうです。
それがショックだったのか、それ以降一気に元気がなくなり、容体も悪化し、病院に入ることになったのだと、残された片親は涙ながらに悔しそうに語っていました。
実際、それまでは全然元気だったので、それしか原因が思い至らないということもあり、それなりに信ぴょう性のあることのように思えます。

何でこんな話をしてるかというと、この『疫神のカルテ』内にて、疫神症候群にかかった現在「医者」として戦っているキャラクターが、「嘘でもいいから病気は治ると言ってくれ」と語っていたのが印象的だったからです。
「死ぬまで信じさせてくれるなら希望は虚構でいい」というのは、まさに今回の身内の死にも言えたことではないかと思ってしまったんですね。医者から「希望はもう無い」と言われること以上の絶望はないですから、それなら最後まで「大丈夫だ」と言って欲しいというのは痛いほど分かります。
てか、私も同じ状況だったら希望のない真実ではなく、気休めの「大丈夫」を聞きたいですわ。

色々と考えさせてくれる作品は間違いなく名作だと思います。
『疫神のカルテ』、是非とも読んでみてください。

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