fc2ブログ

鬼滅が何故大ヒットしたのかをフリーレンから学ぶ

2023年12月23日 15:10

やー、雪やっばいですねー。雪国住まいの方はご自愛ください。
有給とってマジで助かったけど、日曜挟んだくらいじゃどうにもならんよなコレ…。

軽く未来に絶望してるわけですが、今回は最近あったちょっと面白い視点の話。

秋アニメが始まって少し経った頃、同僚のアニメ好きな人と雑談したんですよ。ちなみにその人はオタ知識ゼロのただのアニメが好きな一般人という、個人的に珍しい人です。結構色々見てるのにオタクじゃないんだよなあ。

で、当然のように秋の新作でオススメを聞かれたので、今期はもうフリーレンでしょ!と自信満々でオススメしたところ、何故か難しい顔をされまして。
話を聞くと、どうやら最初の2時間スペシャルは見たそうなんだけど、話がよくわからなかったとか言う。え、フリーレンて難しい描写何もないよね? 世界観は超王道の中世ファンタジーだし、勇者が魔王を倒したって話だし。

何がわからないのか聞いてみると、どうやらその「中世ファンタジー」という概念そのものが理解外らしいことがわかりまして、いわゆる「なろう」系が何で中世ヨーロッパが舞台なの?みたいに訊かれて、あー、これが一般人の感覚なのかと目からうろこでした。まぁ興味ない人はファンタジーという概念を知ろうとすらしてない可能性はあるのよね。

つまり、ファンタジー知識がガチでゼロなため、フリーレンがエルフなことも、エルフという種族が長命なことも、その辺の「下地」の知識が何もない上に、実は『フリーレン』ってその辺の知識はもう常識で知ってる前提で作られてて、作中で説明ほとんどないのよね。なんとなく「この耳の長い子が長生きなんだな」くらいは分かっても、それが何でなのかが分からない。「エルフ」というものに理解がないから。そういう「よくわからない」が蓄積して気持ち悪さが生じるタイプの作品であることに、知識がある人は気づけないんですね。なるほどー。

更に言えば、その人はゲームも全然やらない人なので、「魔王って何? 勇者…?」って感じらしく、冒頭で何でお祭りや凱旋パレードやってたのかもよくわからないまま見てたそうです。おおう、そうなるのか…確かにその辺説明まったくないもんね…「勇者と魔王」って題材は今では文字通り死ぬほど世の中に溢れてて、誰でも知ってると勘違いしそうになるけど、誰もがドラクエを知ってるわけじゃないのと同じで、「勇者と魔王」という概念も実はオタ知識の一種なんだなと改めて実感しました。そしてそれを知らない人に説明するのメッチャ難しいことも知りました。そもそもドラクエ知らないからそこから繋げることもできんしね。

でまぁ、改めて見直してみると、『フリーレン』は読者(視聴者)の知識を信頼して雰囲気作りを重視しているため、ファンタジーやお約束に関する説明は殆どないんですよ。あの世界独自の魔法や理屈に関する説明は当然あるんだけど、それ以前の「エルフとは?」という大前提が実は説明されてないのよね。「そのくらいは説明するまでもなく分かるよね?」ということで。

で、実はそこが同じような世界観である『ロード・オブ・ザ・リング』とかと違う『フリーレン』ならではの致命的な部分でして、『フリーレン』は「エルフ」という種族を理解してないと、そもそもの物語のテーマやら諸々が理解できないというか、そこが鍵なんですが、『ロード・オブ・ザ・リング』は実はホビットがどんな種族かとか知らなくても全然楽しめるんですよ。それは物語を語る上で「ホビットとは何か?」ということがあんまり重要じゃないからですね。鍵は「ひとつの指輪」であり、その説明はちゃんとされるからね。
要は『フリーレン』は「ひとつの指輪とは何か?という説明をしてないロード・オブ・ザ・リング」だと考えると、それは確かに知らない人からは「?」になるわな、ということです。

まぁ、そこまで極端に知識が偏ってる人も珍しいとは思うのだけど、とはいえその手の知識がオタ知識の一種であることも事実であり、実は『フリーレン』て大衆向けではないんだなあと実感する一幕でした。ちなみにその人がよく見てるのは現代を舞台とするタイプのアニメが多いようでした。

そんなその人も『鬼滅の刃』はしっかり見てて、今でも見返すくらい面白いと言ってまして、では鬼滅とフリーレンの違いとはなんぞや?と考えると、割とあっさり答えは見つかりました。

それは「常識」です。

フリーレンはファンタジー知識がないと十全に楽しめない作品なわけですが、鬼滅はそもそも昔の日本が舞台であり、敵も鬼と日本人なら誰でも知ってる怪物なので、もう土台が違うんですよね。見た瞬間の理解度からして天と地の差がある。
なので、鬼滅は「よくわからなくて気持ち悪い」と思う部分がほぼ出てこないのがもう強い。ストーリーラインも家族が鬼に殺された復讐、鬼になった妹を助ける、みたいなストレートな流れなので、難しいことが何もないのも+要因ですね。わかりやすいって大事なんすよ。

で、どうしてそうなるかというと、それが「常識」なんですね。だって日本人なんだから日本が舞台な時点で世界観は理解できるし、鬼も昔話や童謡で散々出てくるし、なんなら季節のイベントまである。知らない人の方が少ないでしょう。
対して西洋ファンタジーは、そこに興味がないと触れる機会はほぼ無いし、その上で勇者と魔王という概念はファンタジー知識だけだと実は補完できなくて、ゲームみたいな媒体にも触れる必要がある。それらは別に生きてる上では不要な知識なので、そのアニメ好きな一般人みたいな人も当然出てくるわけです。

誤解のないように念押ししとくと、これは別にフリーレンと鬼滅のどっちが上かとかそういう話じゃなくて、オタ知識のない人でも鬼滅は普通に受け入れられたということが、フリーレンを理解できないというオタクではない一般人の反応から、そうなった理由みたいなものが見えてきたのが面白いなぁというお話です。

そうね、フリーレンを楽しく見たいという人は、とりあえずドラクエ遊ぶところから始めようか。
でもドラクエだけだとエルフに関する知識は入らないのよな。むしろ「あー、エルフって知ってる知ってる。涙がルビーになるんだよね!」とか言われそうなんで、『ロードス島戦記』オススメしときますね。

皆さんはどこでファンタジー知識を仕入れましたか?
よろしければコメントなど残していただければ嬉しいです。

関連記事


コメント

  1. 56モンスターズ | URL | z1uogJ6Q

    Re:鬼滅が何故大ヒットしたのかをフリーレンから学ぶ

     今回の話に関しては、そもそも「剣と魔法の世界」と「エルフ」の知識とが必ずしも紐付けで身につくわけではない、というのがまた難しい所ですね。いわゆる中世風ファンタジー世界であってもエルフが存在しない作品はかなり多い、というかオススメしかけているDQからしても、明確にエルフが登場する作品って実は11作中4作(具体的には3,4,8,10)だけだったりしますし。
     僕自身の経緯としても、剣と魔法の世界に初めて触れたのはDQ5、初めてプレイしたエルフの登場するゲームは聖剣伝説3、人間とエルフの寿命差をストーリー上で初めて実感したのがテイルズオブファンタジア(GBA版)と、それぞれの時期にはかなりズレがありますから。

     なお、この手のファンタジー世界が実は一般人にはさほど馴染みがあるわけではない、という論調は以前にも別の人がしていたのを見たことがあります。かなり前(もしかしたら10年以上昔かも)に検索かなにかで偶然目に入っただけなので場所は覚えてないですし、今もその文章が残ってるかどうかも分かりませんが。
     いずれにしても規模の広狭を問わず、その界隈では既に常識レベルの知識が今更細かく解説されることがないというのは、つい先日に桜井政博氏(カービィやスマブラを作った人)がYouTubeで語っていた「デファクトスタンダード」に近いことかもしれないですね。その動画でしていた話は世界観ではなく、ゲームの操作方法についてでしたけど。

  2. 岳る | URL | -

    Re:鬼滅が何故大ヒットしたのかをフリーレンから学ぶ

    >56モンスターズさん
    そうなんですよねー、色々な作品に触れていく内に、少しずつ知識として蓄積されていくものなんですよね。ドラクエを勧めたのは「勇者と魔王」を理解するのに一番良い作品かなと。ドラクエのエルフは独自性高いから別物なのがね…w

    どんなジャンルであれ、成熟した世界はもうそれが「当たり前」として運用されるので、どんどん新規に優しくなくなっていくんですよね。
    その中で新規を取り込める作品こそ「覇権」と呼ばれる存在になるのかなと思います。

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://akaheki.blog50.fc2.com/tb.php/2849-08ec3fba
この記事へのトラックバック


最新記事